求人票作成の手順とマニュアル
企業と求職者が出会うきっかけとなるのが「求人票」です。応募者の数や質を向上させるためには、求職者にとって魅力的な求人票を作成することがカギとなります。
今回は求人票に明記すべき項目や、魅力的な求人票を作成するポイント、求人票作成において注意すべき点をご紹介します。
求人票とは
求人票とは、公共職業安定所(ハローワーク)や民間の人材紹介会社、人材派遣会社、大学・短期大学・専門学校などの就職課に求人募集を申し込む際に提出する書類のことです。
提出する求人票には、職業安定法によって定められた労働条件や募集概要を明示する必要があります。求職者が知りたい情報を分かりやすくまとめた求人票は、人材獲得に大きな効果を発揮するため、この職場で働いてみたいと思ってもらえるような魅力的な求人票を作成しましょう。
後ほど求人票の作成ポイントについて解説しているので、参考にしてみてください。
求人票の作成手順
魅力的な求人票を作るためには、採用したい人材にマッチする内容を記載することが重要です。ここから求人票の作成手順を紹介します。
①採用したい人物像を明確にする
求人票を作成する前に、採用したい人物像を決めましょう。例えば、実務経験がある人と未経験者とでは興味を持つ対象や知りたい内容も異なってくるので、記載する文言も変える必要があります。
②求人票に記載する内容を決める
採用したい人材のイメージに合わせて、必要な情報を記載しましょう。求めるスキルや資格、経験に加え、人物像について記載することもおすすめです。ただし、人物像を細かく設定しすぎると、応募者が集まらない可能性があるので注意しましょう。
③求人票のデザインを考える
人手不足が深刻化していることから、採用の競争率が高まっています。人材募集をしている他社と差別化するために、求人票のフォントやレイアウト、色彩の工夫は必要不可欠です。
④求人票の内容を確認する
作成した求人票を提出する前に第三者に確認してもらいましょう。客観的な視点からチェックしてもらうと伝わりにくい部分を見つけることができます。特に、未経験者を採用したい場合は、専門用語を省いた分かりやすい表現が求められるため、求職者目線に立った確認を意識しましょう。
求人票に記載するべき項目
①業務内容
業務内容については、可能な限り詳細に記載する必要があります。1日あたりの業務量など、入社後のイメージがしやすい内容も盛り込みましょう。
最初に覚える仕事内容や業務スキルが身につくまでにかかる期間などについても、求職者にとっては興味のある項目です。
②契約期間
契約期間を記載する際は、無期雇用か有期雇用かを明記しましょう。無期雇用は、正社員に相当する待遇を意味します。一方、有期雇用は、契約社員やアルバイト、パートなどを指します。
③試用期間
試用期間の有無と、具体的な期間の記載が必要です。試用期間中と試用期間後の給与や勤務地などの労働条件が異なる場合は、誤解が生じないようにそれぞれの労働条件を明記しましょう。
④就業場所
採用後に研修や面談を経て就業場所が決まる場合は、予想される就業場所の候補地を全て記載する必要があります。転勤の可能性の有無についても明記しましょう。
⑤就労時間・休憩時間・休日・時間外労働
就労時間・休憩時間・休日・時間外労働など、働き方に関する内容は求職者にとって気になる内容です。時間外労働については、時間外労働の有無と月平均の時間数の目安を記載しましょう。
裁量労働制を採用している企業は、「裁量労働制により、実際に労働時間を問わず〇時間働いたものとみなされる」などの記載も必要です。
⑥賃金
残業代や各種手当を含めない金額を賃金として求人票に記載します。固定残業(みなし残業)を採用している企業は、「時間外労働の有無に関わらず、〇時間分の時間外労働手当として毎月〇円を支給」などと記載しましょう。
⑦加入保険
採用後に加入できる保険を全て記載します。健康保険・厚生年金保険・労働者災害補償保険・雇用保険の全てに加入できる場合は、「社会保険完備」と表現することが可能です。フルタイムとして採用する場合は、健康保険・厚生年金保険・雇用保険への加入が必須です。
⑧募集者の氏名又は名称
募集者の氏名又は名称欄には、求人票を出す企業や人の名前を書きます。また、派遣労働者として採用する場合は「雇用形態:派遣労働者」の記載が必要です。
⑨受動喫煙防止措置の状況
2020年より健康増進法改正の一部改正に伴い、オフィスでも「受動喫煙防止の義務化」が施行されています。これに伴い、職業安定法施行規則の一部が改正され、求人票への「受動喫煙防止のための取り組み」の明記が義務付けられています。
求人票に記載してはならない内容
求人票の記載内容には法律による制約があるため注意しましょう。決まりに従っていない求人票を掲載すると、企業は応募者や世間からの信用を失ってしまいます。ここから、求人票に記載してはならない3つの内容を解説します。
①性別制限や性差別につながる内容
男女雇用機会均等法では、性別による制限や差別を禁じています。「保母」「ガードマン」などの性別を特定する記載は避けて、「保育士」「警備員」など男女問わず通用する表現を使いましょう。女性に対してのみ「未婚であること」、「子どもがいないこと」などと提示する、職種を限定するという行為も控えましょう。
「女性におすすめ」、「男性向きの仕事」などの表現も好ましくないので注意しましょう。
②年齢に関する制限
原則、何歳でも同じ採用条件・面接条件で募集しなければならないため、合理的な理由がない場合は応募条件に年齢制限を設けることは好ましくありません。
しかし、理由によっては年齢制限することも可能な場合もあります。
下記の理由の場合は年齢を制限することが認められるので、確認しましょう。
- 定年が60歳なので60歳未満を採用したい場合
- 警備業のように法令で警備員になる人物の年齢が制限されている場合
- 長期勤続によりキャリア形成を図る観点から、若い人材を期間の定めなしに採用したい場合
- 既存の従業員において、ある世代の人数が少なく、技能やノウハウの承継に問題がある場合
- 演劇の子役のように、芸術・芸能の分野の表現で年齢が制限される場合
- 60歳以上の高齢者や特定の年齢層の雇用を促進する政策のもと、対象の年齢層の人を採用する場合
上記以外での年齢制限は認められないため、体力が必要なハードワークにより若い人材を求めている場合でも「〇〇歳まで」という記載はNGです。
そのような場合は、「〇kgの荷物を上げ下ろしする業務のため、体力や筋力が必要な業務です」というように業務内容を具体的に記載しましょう。
新卒採用の場合は、卒業を予定する時期や卒業する学校の種類を絞って募集をかけましょう。
③虚偽の記載
求人票には意図的な虚偽の記載をしてはいけません。求職者に興味を持ってもらうために事実と異なる好条件を書いたとみなされると、6カ月以下の懲役又は30万円以下の罰金刑が課されます。
効果的な求人票を作成するための5つのポイント
ここからは、人材獲得につなげるための求人票作成の5つのポイントを紹介します。
①求人の魅力を伝える定性情報をアピールする
求人票の情報は、年間休日数や給与などの定量情報と、ポジション名などの定性情報に分けられます。定性情報を充実させると、企業や職場の魅力が伝わりやすくなります。
ポジション名から仕事をイメージしづらい場合は、仕事の内容やスケジュールなどを詳細に記載しましょう。
②分かりやすい言葉で記載する
分かりにくい表現は求職者の誤解を招きかねません。聞いていた労働条件と異なるとクレームを受ける、採用後のミスマッチにつながる、などのリスクがあります。
専門用語や業界用語を使うと、求職者の応募へのハードルが高くなってしまいますし、聞き慣れない言葉では、仕事内容もつかめません。採用したい人のレベルに合わせた求人票作成を心がけましょう。
誰が、いつ、何を、どこで、なぜするのかということを具体化することで、相手に伝わる情報は具体性を持つようになり、イメージしやすくなっていきます。
長い文章では読んでもらえないこともあるので、箇条書きを取り入れるなど、求人票を読みやすくする工夫も重要です。
③入社後をイメージしやすい内容を心掛ける
求人票の情報が少なければ、求職者は入社後のイメージを持つことは出来ません。この会社で働けるのかという不安があると、興味はあっても応募をためらってしまう恐れがあります。
職場の様子をイメージできる情報を求人票に取り入れてみましょう。企業サイトのURL、建物や働いている人の写真など、多くの情報を掲載すると求職者は安心して応募を検討できます。
入社後のキャリアパスや時短で働く社員などの変形労働の例を示すことも有効です。
数年後にはどのような働き方をしているのか、どのようなことができるようになっているのか、モデルケースを示されることでイメージを持ちやすくなります。
「この会社での働き方は私が理想としているものではない」と思う人からの応募を防ぐことにもつながり、結果的に企業と応募者のマッチ度も高まっていきます。
まとめ
求人票の内容は、応募者の数や質を左右します。採用したい人材をイメージし、求人票に記載する内容を具体的に考えてみましょう。求人票に記載してはならない内容にも配慮しつつ、魅力ある求人票の作成を心がけましょう。
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