【社内研修Vol.11】社内研修プログラムの作り方を段階別に解説!必要な7つのステップとは

企業の業績を上げるためには、社員の成長は欠かせません。しかし、社員を育成するための社員研修を実施しようとしても、どのように企画し社内研修を行えばいいのかわからない方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、社員の育成に役立つ社内研修の作り方を7つのステップで解説します。社内研修の作り方におけるポイントもお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。

社内研修の作り方7ステップ

社内研修は、業務に必要な知識やスキルを得るために社内講師が担当する研修に参加して学ぶことです。人事・教育担当者として意味のある社内研修を作るには、具体的な企画や実施の仕方など段階を踏んで計画していかなければなりません。

ここでは「何から取り掛かるべきか」「どのように進めていけばいいのか」など、社内研修の企画の進め方で悩んでいる方のために、7つのステップで解説します。

①解決すべき問題を明確にする

はじめに、解決すべき問題を明確にしましょう。方法としては、現場の社員にヒアリングをし、その情報をもとに課題を分析します。「足りないスキルや知識」「役職ごとの悩み」「職種ごとの課題」を意識するといいでしょう。

社内研修を行う目的は、業務上の問題を解決するためです。問題を明確にしないと、見当違いの研修になったり中身の薄い研修になったりします。そのため、社内研修の計画を練る前に必ず解決すべき問題を明確にしましょう。

②社内研修のゴールを設定する

続いて、社内研修のゴールを設定してください。ゴールは「問題の解決」または「スキルや知識の習得」が該当します。研修終了時に、ゴールにたどり着いたかどうかの数値的な確認や検証も必要です。ゴールを設定しないまま社内研修をスタートしても、振り返ったときに研修が成功したのか、効果があったのかがわかりません。

たとえば、「クレームの発生件数が●件から●件に減少した」「受講者が資格を取得した」など、問題は解決できたのか、スキルや知識は身についたのかを判断するためにゴールを設定しておきましょう。

③具体的な研修内容を考える

研修カリキュラムや時間配分、必要な備品など、具体的な研修内容を考えます。この工程をおろそかにすると、本番の段取りが悪くなるでしょう。本番の段取りが悪いことによって、社内研修の開始時間が遅れてしまったり、終了時間が引き伸ばされたりすると、受講者にとっても講師にとっても利点はありません。

なお、社内研修の内容を決める際は、大まかな内容を決めてから詳細を埋める方法がおすすめです。研修に必要なカリキュラムを過去に実施した事例や現場のヒアリング結果、ネットなどからリストアップし、簡単なスケジュールを決めます。そこから、カリキュラムごとにどのような内容にするのかを決めましょう。大まかな内容から順に詳細を決めておくと、本番はスムーズに進行できます。

④社内研修の進め方を考える

続いて、どのような方法で社内研修を進めるのかを考えましょう。以下のように、研修にはさまざまな進め方が存在します。

  • 講義形式
  • 体験型研修
  • eラーニング(動画研修など)

実施しようとしているカリキュラムに、必ずしも講義形式の研修が適しているとは限りません。例えば、コミュニケーション能力を伸ばす研修で、座学だけ実施していても十分な効果は得られないでしょう。コミュニケーション能力を伸ばすのであれば、ゲーム形式やディベートといった体験型研修が効果的です。

逆に、資格取得に必要な知識やスキルを学ぶ際に、体験型研修だけを実施してしまうと、実技試験はクリアできても、筆記試験で落ちてしまう可能性があります。講義形式やeラーニングによる研修を実施することにより、筆記試験に必要な知識を身につけた後に、体験型研修を実施することで、より知識や実技に対する理解が深まる。といった効果が見込めます。

⑤いつ社内研修を実施するのかを決める

次に、社内研修の実施日を決めます。可能であれば年間スケジュールまたは四半期の計画を立てる際に決めておくと良いですが、最低でも1か月前には実施日を決めておきましょう。なぜなら、受講者が研修日の業務に差し支えが出ないように調整しなければならないからです。アナウンスから研修日までの期間が短いと、受講者本人だけではなく一緒に仕事をしているまわりの方々に迷惑をかけることになりかねません。

また、社内研修の実施日は会場をおさえることと並行して決定しましょう。どちらかを先に決めると、たとえば会場がおさえられなかった場合に実施日や場所の変更連絡をするなど、余計な手間が発生してしまいます。実施日時と会場の候補を複数挙げて、一番社内研修の実施目的に沿ったものを選定し、場合によっては、実施日と受講者を分けて開催することも検討しましょう。

⑥社内研修の講師を選ぶ

研修の内容に応じて社内の人材から講師を選びます。研修の内容に対する深い知識があるかどうかが重要です。知識がなければ、受講者からの質問や相談に適切な対応ができません。また、新入社員研修であれば、新入社員の年齢から20歳以内が目安とされています。なぜなら、年齢が離れすぎると新入社員の気持ちに寄り添うのは難しいからです。

逆に、年齢が近すぎると説得力が弱くなる場合があります。価値観や考え方に大きな違いが生まれないように配慮しましょう。

⑦社内研修後の対応を考える

最後に、研修後の対応を考えます。研修を実施したあとのアフターフォローがなければ、研修の成果はわかりません。社内研修の目的は問題の解決です。問題が解決できたのかを確認するためには、研修前後の受講者の変化を分析する必要があります。分析の方法は、テストやアンケート、面談が主流です。

【研修の作り方の参考に】社内研修の事例3選

多くの種類がある社内研修は、会社によって実施方法や内容が異なります。本来の研修目的を失わず、モチベーションを保ちながら学ぶためには、どのような工夫が必要なのでしょうか。ここからは、企業の社内研修の事例をご紹介します。社内研修を見直したい方、いいアイデアが浮かばずに悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。

株式会社松屋フーズホールディングスのVR研修

株式会社松屋フーズでは、店舗スタッフの研修にVRを用いています。スタッフは、ゴーグルを着用しながら研修を受けます。なお、VRは接客の研修に採用されており、商品の提供だけではなく会話の練習も可能です。VR空間にバーチャルの店舗を再現しているので、現場の雰囲気も体験できるでしょう。

メリットとしては、VR空間を使うので限られたスペースでも研修できる点です。他言語にも対応しているので、外国人のスタッフでも問題なく研修を受けられます。

引用:松屋フーズ、VRを使用した接客トレーニングの導入を開始

キッズモブ株式会社の実技と座学の研修

キッズモブ株式会社が運営している体操教室「LUNA STUDIO」では、社内研修として練習会を実施しています。週に1度の高頻度で実施されており、社員からアルバイトまで参加可能です。

指導スキルアップ、レッスンのクオリティアップが期待できる研修です。座学による研修も行われるほか、研修中はスタッフ同士の交流もありチームとしての結束力が向上するメリットもあるでしょう。

引用:子ども向け体操教室【LUNA STUDIO】社内研修制度をブラッシュアップ!

パーソルイノベーション株式会社のコミックラーニング

パーソルイノベーション株式会社では、社内研修にコミックラーニングが取り入れられました。コミックラーニングとは、eラーニング教材の一種です。動画や資料ではなく、コミックで知識やスキルを学習します。

なお、パーソルイノベーション株式会社では、ハラスメント研修やメンタルヘルス研修にコミックラーニングを採用しています。活字だけの教材よりも学びやすい点や、モチベーションの維持につながる点がメリットです。

引用:ロンド・スポーツ、管理職向け社内研修にコミックを活用した e-Learning『コミックラーニング』を選定

社内研修の作り方における3つのポイント

社内研修を実施するには、3つの大切なポイントがあります。社員のマインドや意識の強化はもちろん、業務で何かしらの効果を発揮するには、研修内容の作り方が大きく影響するでしょう。ここでは、受講者がすぐに役立てられる社内研修の作り方において、大切なポイントをお伝えします。

①テーマに沿った社内研修の形態を考える

社内研修の形態は、テーマに沿ったものを採用しましょう。なぜなら、研修形態には座学、体験学習、eラーニングといったさまざまな種類があり、テーマによって適切なものとそうでないものがあるからです。

例えば、営業力をあげる社内研修であれば、会話能力やプレゼン能力などは必要不可欠です。このような能力は座学だけでは習得が難しいでしょう。営業シミュレーションを通して学ぶなどの工夫を考えなければなりません。

②社内研修の到達目標を決定する

社内研修は、受講者にとって役立つ内容でなければなりません。現状の課題を解決できる研修にするには、受講者のニーズをヒアリングしテーマと目標を選定します。そのうえで、組織にもたらす影響や効果を考え目標を設定しましょう。

目標を設定するのは、受講者を成長させるためでもあり組織の成果につなげるためでもあります。社内研修の内容が目標達成に向けてのプロセスになり、組織が目指すべきゴールへ向かう姿勢を社員は身につけられます。

③受講者にアクションを起こさせる

社内研修をより効果的にするには、受講者の学習意欲を高める必要があります。そのため、研修の際は受講者にもアクションを起こさせ、一方的な講義にならないようにしましょう。とはいえ、受講者にアクションを起こしてもらうには工夫が必要です。

  • 受講者に質問する
  • 体験学習を取り入れる
  • 発表する場所を設ける

社内研修に座学が目立つようであれば、受講者に定期的にアクションを起こさせるようなカリキュラムを採用しましょう。

社内研修の効果を確かめるには

社内研修の実施後は、研修効果を確かめなければなりません。社員の成長はもちろん、企業の利益を高めるために実施した研修が、きちんと成果につながるかどうかの確認は必要です。ここでは、社内研修の効果を知るための手段について解説します。研修内容の修正や見直しに役立て、今後の社内研修の向上を目指しましょう。

受講者を対象にアンケートを実施する

受講者を対象にアンケートを実施すれば、社内研修の効果を確かめられます。アンケートの方法は、研修後に用紙を配る方法やWEB上で回答してもらう方法があります。結果の分析がしやすいため、最近ではWEB上でのアンケートが主流です。

よく使われる主な質問は、以下の通りです。

  • 研修を5段階で評価してください
  • 研修で学んだことを教えてください
  • 研修の感想を教えてください
  • 研修に対する意見をお聞かせください
  • 受講したい研修のテーマをお教えください

また、学習した内容は時間が経てば忘れてしまいます。知識を定着させるために、理解度テストを活用するのもいいかもしれません。

受講者にレポートをまとめてもらう

理解度テスト以外にも、社内研修の内容をアウトプットして知識を定着させるためにレポートを作成してもらうのもいいでしょう。研修の感想や学びのほか、改善点などを書いてもらえば次回の社内研修で活かせる意見があるかもしれません。なお、レポートは社内研修の最終日に1度だけ書いてもらう場合もあれば、1日ごとに書いてもらう場合もあります。

グループでディスカッションする

グループディスカッションで社内研修の振り返りをします。その際、グループの中に研修講師が入ると、受講者の生の声を聞けるでしょう。とはいえ、複数人の前で発表しなければいけないので、なかには積極的に発言しづらい受講者がいるかもしれません。しかし、受講者同士の意見交換にもなり、ディスカッション自体が受講者の成長になるためおすすめです。

コストを削減した社内研修の作り方

会場費や教材費など、社内研修には一定の費用が必要です。予算が決まっているとはいえ、費用を抑えるに越したことはありません。そこで、ここからはコストを削減した社内研修の作り方をご紹介します。

社内研修のテンプレートを利用する

定期的に社内研修を実施している会社のなかには、研修の計画から実施、アフターフォローまでテンプレート化しているケースがあります。テンプレートを利用すれば、情報収集コストや資料作成のコストなどが削減できるでしょう。

注意点として、テンプレートに頼りすぎないようにしなければなりません。その年によって、受講者の性格や人数、性別、学習意欲などは異なります。毎回同じテンプレートを使っていると、社内研修の効果にばらつきが出てしまうでしょう。テンプレートを使いつつ、その年の受講者に合わせた臨機応変な対応が重要です。

オンラインやeラーニングのITを活用する

オンライン研修やeラーニングは、インターネット通信環境とパソコン、スマホがあればどこでも受講できます。したがって、オンライン研修やeラーニングを利用すれば、会場の用意にかかるコストを削減できるでしょう。eラーニングを採用すれば、教材も不必要になり、教材費も削減できます。

社内研修を外注する

社内研修を研修代行会社に外注すれば、社内講師の負担や研修の企画、運営にかかるリソースを削減できます。外注費用がかかるものの、自社で社内研修を実施するよりも、テキスト代や会場代などがパッケージ化されていることによる割引や人材開発支援助成金の活用などで、自社で一から企画するよりもコストを抑えられる場合があります。

また、研修代行会社から派遣される人材や提供される教材は、質が高く教育に最適です。コスト削減しつつ、社内研修の質を保てるのではないでしょうか。

まとめ

この記事では、社内研修の作り方を、7つのステップで解説しました。社内研修の作り方におけるポイントや、研修実施後の効果測定についても説明しています。社内研修は、実施して終わりではありません。アンケートやレポート、ディスカッションを通じて、受講者がどんな効果を得られたのかを確認し、次の社内研修の作り方に役に役立てましょう。

なお、キューズフルでは、社内研修を実施する際、何からとりかかるべきかなどで悩んでいる方のために、研修企画開催×講師派遣×助成金申請代行まで一括サポートいたします。「人材開発支援助成金」やキューズフルの「研修・助成金サポート」の利用をご検討の方は、ぜひお問い合わせください。

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