従業員のスキルアップやモチベーションを向上させる手段として、社内研修は非常に有効です。ただし、効果的な社内研修を実施するためには、事前に社内研修について理解を深めておくことが重要です。そこで本記事では、社内研修の目的やメリットデメリット、実施する流れを解説します。社内研修の担当者はぜひ参考にしてみてください。
社内研修とは
社内研修とは、社外のリソースを活用することなく、社内の人材で従業員のスキルアップを図る研修のことです。社内研修の概念と比較される概念として、社内教育と社外研修があります。下記では、社内研修と社内教育、社内研修と社外教育の違いについてそれぞれ解説します。
社内研修と社内教育の違いとは
社内研修と社内教育の違いは、期間の長さです。社内教育とは、半年や1年単位で中長期にかけて実施されるものであるのに対し、社内研修は短ければ1日単位で終了するものです。ただし、社内の人材を育成するという側面においては共通してます。
社内研修と社外研修の違いとは
社内研修と社外研修の違いは、研修のリソースを社内で完結させるか、社外のリソースを活用するかにあります。社内研修は会社の文化や価値観に基づいた内容が提供されるため、従業員が会社の方針や目標に沿って成長できます。
社内研修は、社内で育成プログラムが確立できれば実施することは可能ですが、社内に育成プログラムや必要なスキルの専門家がいない場合、従業員のスキルアップが困難になります。
一方、社外研修は、外部の研修機関や専門家を招いて行われる研修です。外部の視点や知識を取り入れることができるため、他の企業や業界の事例やノウハウを学ぶことができます。会社の枠を超えた情報や経験を得ることができるため、新たなアイデアや刺激を受けることができます。
社内研修と社外研修は、それぞれ異なる特徴を持っていますが、両方を組み合わせることで、従業員のスキルや知識の幅を広げることができます。会社の内外の情報や経験をバランスよく取り入れることで、より高い成果を上げることができるでしょう。
社内研修のメリット
社内研修のメリットについて6つ紹介します。
- 従業員のスキルが向上する
- 企業文化が浸透する
- 社内全体で共通理解が得られる
- 社員間でコミュニケーションを図れる
- ニーズに合わせて研修内容を変更できる
- 社外研修費用を節約できる
下記では、それぞれのメリットについて解説します。
従業員のスキルが向上する
社内研修の主な目的は、従業員のスキルを向上させることです。従業員のスキルを向上し、会社全体の売上に貢献してもらうべく、社内研修を実施します。社内研修によって、最新の技術やツールを学ぶことで、業務効率化や品質向上に繋がります。
企業文化が浸透する
社内研修は、企業文化を浸透させるための重要な手段の一つです。研修を通じて、社員は共通の価値観や目標を共有し、組織全体で一体感を持つことができます。社員同士のコミュニケーションや協力が促進され、チームワークが高まります。
さらに、社内研修を通じて、従業員は組織の一員としての誇りや責任感を持つようになります。これにより、組織全体のパフォーマンスが向上し、成果を上げることができます。社内研修は、企業文化を浸透させるための効果的な手段であり、組織の発展に不可欠な要素です。
社内全体で共通理解が得られる
社内研修は社員同士の意識や価値観の統一を図ることもできます。研修を通じて、社員が同じ目標や価値観を共有し、組織の一体感や統一感が生まれます。社内全体で共通理解が生まれ、コミュニケーションがスムーズになります。
従業員間でコミュニケーションを図れる
社内研修に参加することで、従業員同士のコミュニケーションが活発化します。研修中にはグループ活動やディスカッションが行われるため、社員同士の関係性が深まり、信頼関係が築かれます。研修の場では異なる部署や職種の社員と交流する機会が増えるため、組織全体の視野を広げることができます。
情報共有がスムーズになり、組織内のコミュニケーションの質が向上します。異なるバックグラウンドを持つ社員同士が交流することで、新たなアイデアや視点が生まれる可能性もあります。社内研修は、組織の一体感を高め、成果を上げるために重要な役割を果たします。
ニーズに合わせて研修内容を変更できる
社内研修では、研修プログラムを自社のニーズに合わせてカスタマイズできます。外部の研修機関では、一般的な研修プログラムが提供されることが多いため、自社の特定のニーズに合わせた研修を受けることが難しいですが、社内研修では自社のニーズに合わせた研修プログラムを作成できます。
社外研修費用を節約できる
社内研修では、社員を外部の研修機関に送る必要がないため、研修費用を節約できます。外部の研修機関に参加すると、参加費や交通費などの費用がかかりますが、社内研修では外注費を丸ごと削減できます。
社内研修のデメリット
社内研修のデメリットを4つ紹介します。
- 外部の専門家の知見を得られない
- 人的リソースが限られる
- 業務とのスケジュール調整が難しい
- 客観的な視点が欠けるリスクがある
下記では、それぞれのデメリットについて解説します。
外部の専門家の知見を得られない
外部の専門家の知見を得られないということは、外部の視点や最新のトレンドについて学ぶ機会が減ることを意味します。会社自体が閉鎖的であるため、社内の限られた知識や経験に頼ることになり、新しい視点やアイデアが制限される可能性があります。
また、業界や市場の変化に対応するための最適な戦略や手法を学ぶ機会も減り、競争力の低下につながる可能性があります。外部の専門家の知見を得ることは、組織の成長やイノベーションにとって重要な要素であり、その機会が減ることは大きな懸念材料です。
人的リソースが限られる
社内研修では、従業員全員に対して充実した研修を行うことが難しい理由がいくつかあります。まず、トレーナーや講師の人的リソースが限られているため、全ての従業員に対して個別の研修を行うことは難しいです。
そのため、一部の従業員にしか研修の機会が与えられない場合があります。また、研修の内容やスケジュールを調整する際にも、人的リソースの制約があるため、従業員の希望や要望に応えることができない場合があります。
人的リソースが限られているため、研修の質や内容にばらつきが生じる可能性もあります。つまり、全ての従業員に対して均等な研修を行うことは難しく、一部の従業員にしか研修の恩恵が及ばない可能性があります。
業務とのスケジュール調整が難しい
社内研修のスケジュール調整は、各部署の業務との兼ね合いを考慮する必要があります。各部署は日々の業務を遂行するためにスケジュールを組んでおり、研修期間中に参加者が業務から離れることで、業務の進行に影響が出る可能性があります。
また、研修に参加する従業員が複数いる場合、全員が同時に研修を受けることが難しく、スケジュールの調整が複雑になることがあります。そのため、研修のスケジュールを調整する際には、各部署の業務の重要度や緊急度を考慮しながら、最適な日程を決定する必要があります。
客観的な視点が欠けるリスクがある
社内研修では、自社の文化や考え方に偏った視点での学びが多くなるため、客観的な視点が欠けるリスクがあります。社内の上司や同僚が講師となることが多いため、彼らの意見や経験に影響を受けやすく、客観的な視点が欠けるリスクもあります。
また、社内の問題や課題に焦点を当てることが多いため、他社の事例や外部の視点を取り入れることが少なくなる傾向があります。ときには外部の専門家や業界のトレンドを取り入れ、異なる視点を持つ人々との交流を促進することが重要です。
社内研修に適する研修の種類
社内研修に適する研修の種類を4つ紹介します。
- 新人研修
- コミュニケーション研修
- チームビルディング研修
- マネジメント研修
下記では、それぞれの種類について解説します。
新人研修
新人研修は、新入社員が仕事の基本的な知識や業務の流れを学ぶための研修です。職場のルールやマナーの研修は、社内のルールやマナーを理解し、適切な言葉遣いや振る舞いができるようにするための研修です。新人研修によって、社内の文化に適した人材を育成します。
コミュニケーション研修
コミュニケーションスキルの向上を目指す研修では、コミュニケーションの基本原則や手法、障害について学びます。基本原則とは、相手を尊重し、適切な言葉遣いや態度で接することです。障害とは、誤解や意見の食い違い、情報の欠如など、コミュニケーションが円滑に進まない要因のことを指します。
効果的なコミュニケーション方法やテクニックも身につけます。聴く力を養い、相手の意見や感情に共感することで、相手と深い関係を築くことが可能です。
チームビルディング研修
チームビルディング研修では、チームメンバーが協力して問題を解決することで、チームワークや結束力の向上を図ることができます。最近では、アウトドア活動を通じてチームビルディングを強化する企業も増えています。
登山やキャンプなどのアクティビティを通じて、メンバー同士がお互いを支え合いながら目標に向かって進むことで、チームワークを醸成することができます。チームメンバーがアウトドアでの活動を通じて信頼関係を築き、結束力を高めます。
チームビルディング研修の具体的な事例を知りたい人はこちらをご参照ください。
マネジメント研修
マネジメント研修では、マネジメントの基本的なスキルや重要性について学びます。また、チームを効果的に指導する能力を養うための研修です。部下の目標達成をサポートするために、目標設定のプロセスや進捗管理の方法なども学びます。
社内研修を実施する流れ
社内研修を実施する流れを4つのステップに分けて説明します。
- 研修の目的や種類を決定する
- 研修の予算やスケジュールを決定する
- 研修を実施する
- 研修の効果を測定する
下記では、それぞれのステップについて解説します。
研修の目的や種類を決定する
社内研修を実施するためには、まず研修の目的や種類を明確に定める必要があります。研修の目的は、何を学びたいのか、どのようなスキルや知識を身につけたいのかを明確にすることです。
社内研修の目的や種類は、企業の経営戦略や市場のニーズによって変わります。自社が現時点で特に伸ばしたい分野や応急処置が必要な分野、市場から求められている分野を発見し、研修のテーマを決定しましょう。
研修の予算やスケジュールを決定する
研修の目的が決定したら、次は予算とスケジュールを決めましょう。研修の予算を決定する際には、会場費や学習ツールなど、研修にかかる総額を算定しましょう。スケジュールを決定する際には、参加者の業務との兼ね合いを考慮し、最適な日程を決定しましょう。対象者全員の都合を考慮するのは難しいかもしれませんが、できるだけ多くの人が参加できるように調整する必要があります。
研修を実施する
研修に必要な教材や資料は、事前に準備しておく必要があります。それに伴って、学習方法も決めておく必要があります。これらの準備が整ったら、研修を実施できます。研修を進めるにあたって司会や講師を社内で配置し、主体的な参加を呼びかけながら、研修を効果的なものにしていきましょう。
研修の効果を測定する
研修終了後は、研修の効果を測定するようにしましょう。そのまま放置してしまうと、研修の効果が弱まってしまうどころか、そもそも研修の効果を明らかにできません。研修後にテストやレポートの提出などを準備し、習熟度チェックを行いましょう。
まとめ
本記事では、社内研修の目的やメリットデメリット、実施する流れなどを解説しました。社内研修は従業員のスキルアップやモチベーション向上に最適です。ただし、闇雲に研修を実施するのではなく、自社に適した目的を設定して、効果を検証することが重要です。ぜひ本記事を参考に充実した社内研修を実施していきましょう。
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