社内研修において、グループディスカッションを取り入れる企業が多くあります。しかし、ディスカッションの意味や目的がわからず「どのようなテーマにすればいいのか」と悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
そこで、この記事では、社内研修のディスカッションテーマを3タイプに分けてご紹介します。また、ディスカッションの流れについても解説しますので、ぜひ参考にしてください。
社内研修における3つのディスカッションテーマ
社内研修のディスカッションでは、テーマの選定が重要です。ディスカッションは業務をするうえで必要なスキルを身につけたり、チームプレイを向上させたりとさまざまな目的があります。それぞれが主体的に取り組む必要があり、自分に適している役割をこなしながらチームのために貢献する力を磨かなければなりません。
ディスカッションを成功させるためには、どのようなテーマで取り組めばいいのでしょうか。ここでは、ディスカッションテーマを3タイプに分けて解説します。
【課題解決タイプ】
課題解決タイプのディスカッションには、以下のようなテーマがあります。
- 少子高齢化を改善するには
- 若者の投票率を増やすには
- リバウンドを防ぐ方法とは
- 病院の待ち時間を減らす方法とは
- 屋台の売り上げを伸ばす方法とは
課題解決タイプでは、1つの問題を取り上げ、それに関してディスカッションを進めます。改善策や再発防止対策を出し合うのが目的といえるでしょう。メンバーの問題解決に取り組む姿勢や、論理的思考力がディスカッションによって読み取れます。
【自由討論タイプ】
自由討論タイプのディスカッションには、以下のようなテーマがあります。
- カレーライスの魅力とは
- AI導入によるメリットとは
- 喫茶店を出店するならどこ
- 外国人におすすめの東京の観光地とは
- 老人ホームの入居者が楽しめるゲームとは
自由討論タイプでは、提示されたテーマに対してメンバーがさまざまな視点から意見を述べます。課題解決タイプとは異なり、結論が出ないのが特徴といえるでしょう。自分の意見をわかりやすく伝える能力や、相手の意見を尊重し理解する力を読み取れます。
【ディベートタイプ】
ディベートタイプのディスカッションテーマには、以下のようなものがあります。
- 観るなら漫画とアニメどちらがいいか
- 確定申告する場所はオンラインか税務署か
- 寿司とラーメンどちらが人気か
- 欲しいのはお金か時間か
- 商品を売るために必要なのは値段の安さか質の高さか
ディベートタイプは、選択肢を選んで自分の意見を述べていきます。論理的思考や情報収集力、理解力などが読み取れるでしょう。選択肢が2つに割れるようなテーマを探すと作りやすいかもしれません。
社内研修におけるディスカッションの4つのステップ
ディスカッションは、テーマに沿ってメンバーが討論し最適な結論を導き出すために行います。それぞれが意見や情報を出して、内容のあるディスカッションにするにはどのようにすすめればいいのでしょうか。ここではディスカッションを充実させるための4つのステップを解説します。
①グループの人数を決める
はじめに、1グループの人数を決めます。ディスカッションにおける1グループの人数は4〜5人が適切でしょう。人数が少な過ぎると、出てくる意見が少なく議論が活性化しません。また、反対に人数が多過ぎると発言できない方が現れます。また、ロールプレイする場合は、4人だとペアワークで別れやすいのでおすすめです。
②ディスカッションの時間を決める
次にディスカッションの時間を決めます。時間を決めておかなければ、段取りが組めずに結論が出ないまま終了してしまったり、デスカッションが長引いてしまったりのトラブルが生じるので注意しましょう。20分〜1時間が適切なディスカッションの時間です。
③ディスカッションテーマを選択する
続いてディスカッションテーマを選択します。テーマは、前述した3つのタイプを参考に設定し、ディスカッションをスタートします。ディスカッションに慣れていない方は、どんなテーマがディスカッションにふさわしいか判断できません。また、テーマ決めをしているうちに制限時間が来てしまい、話し合いを始めるに至らないケースもあります。
ディスカッションに集中してもらうためにも、研修担当者がテーマを提示するなどの工夫が必要な場合もあるでしょう。
④メンバーごとに役割を決める
テーマが決まれば、それぞれのメンバーの役割を決めましょう。役割の決定は、ディスカッションを円滑に進めるために重要なステップです。ディスカッションにおける役割のなかで、必ず決めなければならないのが進行役です。話が詰まったときに誰かに話を振ったり、時間配分を考えたりします。
また、進行役のほかに、書記やタイムマネージャー役も決めなければなりません。それぞれが役割をまっとうすれば、ディスカッションは滞りなく進むでしょう。
社内研修のディスカッションで評価されるポイント
ディスカッションで評価されるポイントは「積極性」「理論性」「協調性」です。進んでアクションを起こしているか、自分の意見を相手に伝えられるか、はじめて会った方とうまくコミュニケーションが取れるかなど、評価ポイントはさまざまです。ここでは、積極性、理論性、協調性から評価ポイントをくわしく説明します。
積極性について
ディスカッションでは、いい結論を出すためにさまざまな意見を出し合わなければいけません。発言しない方がいると、その分意見が出てきません。全員が積極的に発言するチームに比べると活発性に欠けるでしょう。
転職・求人会社による採用の実態調査によると、企業が求める人物像で求められるのは「積極性」が74%でトップでした。この結果からもわかるように、社内研修のディスカッションでは、積極性が評価ポイントとして重視されるのがわかります。
引用:「企業が求める人物像は?」採用担当者のホンネ−中途採用の実態調査
論理性について
ディベートにおける論理性とは、会話のなかで出た情報をもとに、納得できる意見を述べる能力を指します。ディスカッションでは、結論こそあるものの正解はありません。参加メンバーはあらゆる情報をもとに結論を導き出す必要があります。
理にかなっている発言や、わかりやすい発言をする方は、論理性に長けていると評価されるでしょう。論理性は相手に自分の意見を伝えたいときに役立つ能力です。業務のなかで営業やプレゼンを行う会社は、論理性も評価ポイントとして重要視しています。
協調性について
ディスカッションでは、自分の意見をぶつけるのも大切です。しかし、他人の意見を尊重しつつ一緒に結論を導き出す能力も必要でしょう。チームの一員として問題解決できる能力があるかは大きな評価ポイントになります。
自分の意見を述べたい一心で、制限時間いっぱい話してしまうのではなく、ほかのメンバーの意見を吸収する柔軟性を持ってディスカッションを進められるかが重要です。
社内研修にディスカッションを取り入れるメリット
社内研修にディスカッションを取り入れるメリットはいくつかあります。社員同士の交流はもちろん、新たなアイデアを生み出したり、解決すべき問題を明確にできたりなどさまざまです。ここからは、社内研修にディスカッションを取り入れるとどのようなメリットがあるか、具体的に解説します。
社員同士の交流になる
1つ目のメリットは、社員同士の交流です。ディスカッションはグループで行うため、必然的にコミュニケーションが発生します。普段交流のない社員同士で話し合うケースもあるでしょう。社員同士の交流が発生すると、意見の交換が活発になり社員の成長につながります。特に、異なる部署同士のディスカッションでは、新鮮な意見も聞けるかもしれません。
さまざまな意見が出る
2つ目のメリットは、さまざまな意見が出ることです。ディスカッション中は、一人では思いつかない意見も出てくるでしょう。自分ではいまいちだと思っている意見でも、ほかのメンバーから見れば評価に値する場合もあります。反対に、自信を持っている考えが相手に受け入れられないケースもあるでしょう。
このように、さまざまな視点から出てくる意見は、メンバーにとって視野が広がるきっかけになります。
新たなアイデアを生み出せる
新たなアイデアを生み出せる点もメリットの1つです。ディスカッションでは、さまざまな意見が飛び交います。それらの意見をきっかけに、斬新なアイデアを思いつくかもしれません。例えば、企画部署の社員が経理部署の社員の意見を聞けば、コスト削減が期待できるアイデアが生まれる可能性もあるでしょう。
今まで会社に存在しなかった新しいアイデアは、思わぬ利益をもたらす可能性があります。
解決すべき問題を明確にできる
解決すべき問題を明確にできるのも大きなメリットといえるでしょう。世の中にはさまざまな問題があり、企業は、その問題を解決するために業務を行っています。問題の正確な把握は、企業の成長プロセスには重要で、成果へつながる一歩となります。
ディスカッションでは、与えられたテーマから問題点を絞り出す過程があるため、問題を正確に把握する能力が身に付きます。また、社内研修のディスカッションでは、1つの問題に対してチームでの解決を繰り返し行います。そのため、話し合いながらの問題解決に慣れ、業務でも役に立てるようになるでしょう。
社内研修のディスカッションを円滑に進めるコツ
社内研修のディスカッションを円滑に進めるには、コツがあります。他人の意見を聞き入れるのはもちろんのこと、ディスカッションのルールを決めておくのも大切でしょう。ここでは、ディスカッションテーマに沿って円滑に進めるためのコツをお伝えします。
他人の意見を聞き入れる
ディベートは意見交換の場でもあります。そのため、自分の意見だけを述べていると他人の意見を聞けません。他人の意見を聞けば、反対意見や賛同意見などの話の種が生まれる要因になります。会話が途切れずスムーズに進むため、ディスカッションが活発かつ円滑に進むでしょう。
ディスカッションの進行役を設定する
ディスカッションを円滑に進めるには、進行役を設定する必要があります。ディスカッションが滞る原因の1つに、メンバー全員が平等に意見を出す時間を取れていない点が挙げられるでしょう。進行役を設定して、メンバーに話を振ったり発言を求めたりすれば、さまざまな視点からの意見が出てディスカッションが活性化します。
ディスカッションのルールを定める
ディスカッションが滞ったり中断したりしないようにルールを定めておくといいでしょう。例えば、発言する順番を決めておく、自分の番が来たら必ず発言しなければならないなどのルールを定めておくとディスカッションが途切れるなどの問題は発生しません。
また、自分の順番が来るまでに発言を考える必要があるため、思考力や判断力、情報処理能力も身に付きます。
ディスカッションテーマをもとにゴールを明確にする
ディスカッションのテーマをもとに目的やゴールを明確にしましょう。例えば「若者の投票率を上げるためには」というテーマで議論するとします。このテーマの目的は「投票率を上げる案を出す」そしてゴールは「投票率が上がった社会」です。
このように、ゴールを明確にしておけば「若者の投票率を上げるためにはどうしたらいいか」といった意見が出しやすくなり、ディスカッションが円滑に進むでしょう。
まとめ
この記事では、社内研修に取り入れるディスカッションテーマについて、3つのタイプを解説しました。またディスカッションの流れや評価されるポイントについてもくわしく説明しています。
社内研修におけるディスカッションは、チームプレイを向上させるなどさまざまな目的があります。それぞれが主体的に取り組む必要があり、与えられた役割をこなしながらチームのために貢献する力が磨かれるでしょう。
どのテーマを採用したら効果的なディスカッションができるかお悩みの方は、ぜひキューズフルにお問い合わせください。研修のプロが、会社ごとに適したプランをご提供いたします。
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