従業員の効率的な育成を目指す際には、研修の活用がおすすめです。短期間で集中的に学習ができる研修なら、従業員のスキル・能力アップに貢献してくれるでしょう。一方で、研修を実施する際には費用面に気を配る必要があります。どの程度の費用がかかるのか、どんなコストが発生するのかを、事前に確認しておくとよいでしょう。
本記事では研修費用の相場や安く抑える方法、助成金を使うメリットなどを解説します。
研修にかかる費用相場はどれくらい?
研修を導入する際には、まず研修費用の相場を知るのがポイントです。相場がわかればそれに合わせて予算を組み、無理のない範囲での研修を実現できるでしょう。以下では、研修にかかる費用相場について解説します。
従業員1人あたりで3〜4万円程度が相場
株式会社産労総合研究所の「2023年度 教育研修費用の実態調査」によると、従業員1人あたりの研修費用は32,412円となっています。研修費用はコロナ禍に大きく減少し、2020年には24,841円まで低下しましたが、その後は回復傾向にあります。
一方で、コロナ前の水準までは未だ到達せず、2017年の38,752円と比較すると研修費用を抑えている企業が多い可能性があります。今後も従業員1人あたりの研修費用が、どの程度まで回復するのかが注目されるでしょう。
参考:2023年度 教育研修費用の実態調査|株式会社 産労総合研究所
研修費用は増加の兆しがある
上記と同じ調査内容を参考にすると、研修費用は増加する可能性があることもわかります。「教育研修費用総額の今後(1~3年)の方向性」という項目において、「かなり増加する見込み」が9.7%、「やや増加する見込み」が53.1%となっています。合わせると62.8%なるため、6割強の企業が研修費用の増加を考えているのです。
理由としては新型コロナウイルスの影響で中断していた研修を、再開する見通しが立ったという点が目立ちます。そのほか、「人材育成に力を入れる方針が固まったため」「デジタル教育やリスキリング教育を強化するため」といった理由が挙げられています。
参考:2023年度 教育研修費用の実態調査|株式会社 産労総合研究所
研修を受講する人数などさまざまな要因で変動する
研修費用は受講する人数や内容など、さまざまな要因で変動します。例えば、社内研修の相場は、1日あたりで20〜50万円程度と言われています。短期間で集中する場合には、10,000〜50,000円/1日程度が相場になります。多くの企業が参加する公開研修(オープン研修)では、18,000〜30,000円/1日程度が相場になるでしょう。
そのほか、昨今はeラーニングやWebを使ったオンライン研修なども広まっています。それぞれ人数や環境によって研修費用は増減するため、事前に詳細を確認するのがポイントです。
研修費用の基本について
研修費用について知る際には、基本的な概要から把握するのも重要です。近年の傾向やポイントを踏まえることで、コストパフォーマンスの高い研修を実施しやすくなるでしょう。以下では、研修費用の基本について解説します。
研修費用は会社が負担する
前提条件として、研修費用は会社側が負担するのが一般的です。会社都合で従業員に研修を受けさせるケースでは、その費用をすべて負担するのが基本です。交通費やそのほか諸経費も、会社が請け負うかたちになります。一方で、従業員が自主的に研修を受ける場合には、必ずしも費用を負担するとは限りません。
事前に研修費用のサポート制度などがある場合には、そのルールに則って費用を負担します。特別に研修費用を負担する制度がない場合には、従業員個人と話し合いをするか、この機会に新制度を設立するといった方法が考えられます。従業員の積極的な学習を後押しするためにも、研修費用の支援制度の確立を検討しましょう。
研修費用は事前に見積もりを取って比較するのがポイント
研修費用を計算する際には、事前に委託業者や個人講師に見積もりを取り、比較するのがポイントです。先に紹介した費用相場を踏まえたうえで、高すぎるものは弾き、相場に近いものを厳選することで無駄なコストを抑えられます。見積もりをせずにいきなり契約をすると、想像以上のコストが発生するケースもあるでしょう。
すべての企業や講師が相場通りの金額を提示するとは限らないため、事前の見積もりは確実に行いましょう。
研修費用だけでなく内容もしっかりと確認を
研修費用の確認だけでなく、研修内容もしっかりと精査することが重要です。研修費用の安さにつられて契約しても、具体的な結果に結びつかないと、従業員の貴重な時間を無駄にしてしまいます。研修の間、従業員のモチベーションが低下する恐れもあるため、研修費用だけでなく内容の質もきちんと確認が必要です。
研修方法は多様化している
研修方法は、昨今の社会情勢の変化を受けて多様化しています。特にeラーニングやオンライン研修などは、コロナ前と比較して増加しています。eラーニングやオンライン研修は、会社にいながら研修を受けられるメリットがあります。そのため時間を節約しつつ、専門的なスキルを獲得できる点が特徴です。
一方で、eラーニングやオンライン研修は、対面での学習ができないというデメリットがあります。実際に人と触れ合って学ぶことがないため、一部のスキルを伸ばすのには不向きなケースとなるでしょう。
丁寧な説明とサポートがある研修を選ぶのがおすすめ
研修の委託先を選ぶ際には、研修費用に加えて、説明の手厚さやサポート体制を参考にするのがポイントです。丁寧に研修内容を説明してくれる企業や、サポート体制が完備されている企業は、安心して研修を任せられます。逆にこれらの点がいい加減だと、研修を依頼しても効果を得られない可能性が懸念されるでしょう。
企業研修を請け負ってくれるサービスのなかには、一から専門のカリキュラムを構築したり、コンサルタントが相談に乗ってくれたりするケースもあります。より高い効果を求めて研修を実施する際には、柔軟な対応をしてくれる企業への依頼がおすすめです。
研修費用の主な内訳
研修費用には、大まかな内訳があります。それぞれにかかる費用を合算した金額が、研修時にかかるコストになるでしょう。以下では、研修費用の主な内訳について解説します。
①研修費
研修費とは、いわゆる研修そのものにかかる費用を指します。研修の計画や準備などにかかる費用が、この研修費に含まれています。なかには講師の派遣料も、研修費の一部として計上するケースがあります。カスタマイズが可能な研修や、別途オプションがある研修では、構成次第で研修費が増減します。
研修にかけられる予算と相談して、カスタマイズやオプションを上手く使うのがおすすめです。
②教材費
教材費とは、研修に使用するテキスト代やワークシートのコピー代、オンラインやビジネスツールなどの使用料金などの費用を指します。自社のオリジナル教材や企業研修会社のカスタマイズ教材は比較的高額になりがちですが、市販のテキストや電子データを用いることで、全体的な費用を抑えることができます。
またDX化のための各種オンラインツールやクラウドサービスに関する研修を実施する際は、無料試用期間を活用して、操作方法などを学ぶことで、使用料金などの費用を抑えることが可能です。
③交通・宿泊費
研修における交通費は、外部の講師を招く際に発生する費用です。そのほか、受講生の交通費をこちらで計上するケースもあります。いずれにせよ移動距離が遠く、研修の回数が増えるほど、交通費も増額します。
また、研修時に宿泊が必要な場合には、宿泊費も発生し、費用として請求されます。外部講師が数日間社内で研修をするケースでは、講師の数だけ宿泊費が発生します。逆に、従業員が宿泊込みでの研修を実施する際にも、宿泊費が必要です。こちらも受講者の人数分だけ、宿泊費が高くなります。
④会場費
研修の会場費とは、実際に研修を行う場所を借りる際にかかる費用です。大人数の受講生がいる場合には、それなりに大きな会場が必要です。その場合には会場費が高くなりやすいため、事前に確認しておくとよいでしょう。
社内の会議室や研修室などで実施することも可能ですが、充分な設備が整っていないこともあるため、研修場所を自社で決められる場合には、予算を考慮しながらちょうどよい会場を選択するのがコストを抑えるポイントです。
⑤設備費
研修で必要になる各種設備費も費用として発生します。例えば、プロジェクターやスクリーンの使用料、食事・飲み物の料金などが設備費に含まれます。プロジェクターやスクリーンといった機材を会社で保有している場合には、それを使うことで設備費を抑えられる可能性があります。
研修費用を安くする方法
研修にかかる費用は、決して安価ではありません。さまざまな工夫を通して、少しでも研修費用を安く抑えることが、負担を軽減する基本です。以下では、研修費用を安く抑える方法・ポイントを解説します。
ある程度は研修を内製化する
研修費用の多くが、外部に委託する際に発生する研修費です。プロの講師を呼んで専門のカリキュラムを教えてもらう場合には、高額な研修費がかかることもあるでしょう。一方で、社内で研修を内製化できれば、外部にコストをかけずに済みます。
自社でノウハウを持っている分野に関しては、社内で独自の研修をつくり上げて内製化することも、研修費用を抑える方法の1つです。一方で、すべての作業を内製化するのは難しいため、一部の専門業務を委託するなど、調整するのがポイントです。
オンライン研修など安く済む方法を選ぶ
オンライン研修など、そもそもの研修費が安い方法を選ぶのもコスト削減のコツです。オンライン研修では交通費や会場費がかからないため、トータルコストが安く抑えられます。完全なオンラインであれば、受講者は自宅にいながら研修を受けられます。時間の節約にもつながるため、効率よく学習が進められるでしょう。
研修の参加者を厳選する
研修費用を抑えるには、研修の参加者を厳選するのも1つの方法です。研修費は、参加する受講者の人数が増えるほど高くなります。そのため研修に対するモチベーションが低い人や、研修内容と実際の業務に関連がない人まで研修に参加させると、コストが無駄になる恐れがあります。
事前に研修を実施することを社内に通達し、希望者だけを参加させるなどの方法で厳選することも考えられます。そのほか、「新入社員だけ」「管理職だけ」といったカテゴリーで分類し、参加者を絞り込む方法もあります。
短期間で終わるカリキュラムを構築する
研修費用は、期間が長くなる場合も高額となります。そのため、最初から短期間集中型の研修を選んだり、短時間だけで終わるようにカリキュラムを調整したりすることで、研修費用を抑える方法も考えられます。短時間の研修でも、内容の質が高ければ多くのメリットを得られます。
逆にただ長いだけで内容が伴っていない研修は、費用も時間も無駄になる恐れがあります。研修期間を上手く調整して、コストパフォーマンスを高めるのも1つの手段です。
研修費用を抑えるのなら助成金の利用がおすすめ
研修費用を抑えるのなら、助成金の利用もおすすめです。助成金の申請要件を満たせれば、研修にかかった費用をカバーできます。以下では、研修における助成金の基本を解説します。
助成金とは?
助成金とは、国や地方団体などが支給しているお金を指します。条件を満たしたうえで申請すれば、ほぼ確実に無償で資金を獲得できます。研修など従業員の教育に対する助成金も多く、申請することで支払ったコストを補填できる可能性があります。
例えば、厚生労働省の「人材開発支援助成金」や、公益財団法人東京しごと財団の「社内型スキルアップ助成金・民間派遣型スキルアップ助成金」などが該当します。これらの助成金を上手く活用できれば、研修費用を抑えつつ従業員の能力アップを実現可能です。
研修の助成金申請にはプロの指導を受けるのがおすすめ
研修に対する助成金は有益な制度ですが、申請方法が複雑だったり、条件を満たさないことで審査に通過できなかったりする問題があります。そのため研修に関する助成金を活用する際には、申請方法や活用方法をアドバイスしてくれるプロに頼るのがおすすめです。わからないことや疑問点をすぐに解決できるため、スムーズに助成金の申請が行えるでしょう。
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また、助成金の活用方法について具体的なアドバイスが行えるため、コスト削減を同時に実現できるのも特徴です。研修費用でお悩みの際にも、ぜひ「キューズフル」にお問い合わせください。
まとめ
研修を実施する際には、研修費用について考えておく必要があります。どの程度の費用相場なのか、どんな内訳で成り立っているのかを確認し、詳細を把握したうえで研修プランを立てるのがおすすめです。まずはこの機会に研修費用の基本と、安く抑える方法について確認してみてはいかがでしょうか。
研修を実施する際には、無料で相談できる「キューズフル」をご利用ください。研修後の労務相談や社会保険手続きなど、アフターフォローも含めてサポートが可能です。研修内容に合わせて、最適な助成金活用プランも提案できるため、手間をかけずに助成金の利用を検討できますので、まずはお気軽にご相談ください。
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