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【人事担当者向け】面接官マニュアル(Vol.2)

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目次

面接の流れ

ここからは基本的な面接の流れについて説明します。大きく分けて5つのステップがあるので、1つずつどのように進めていけばよいのかを説明していきます。

①アイスブレイク

面接開始時の応募者は緊張しているため、いきなり本題に入るのは避けましょう。先ずは、自然体で話してもらえるようにリラックスできる雰囲気を作り出すことが重要です。当日の天気や、面接会場まで道に迷わなかったか、駅は混んでいなかったかなど、相手が答えやすい質問をして、会話をすることで緊張をほぐしていきましょう。

②自己紹介・現職の確認

アイスブレイクの後は応募者に自己紹介をしてもらいましょう。職務経歴書に沿って、現職でどのようなことをやっていたかなどを話してもらい、話の中で気になる部分や、もっと聞きたい部分があれば、その都度質問していき、応募者への理解を深めていきます。

③履歴書、職務経歴書を見ながらの質問と会話

履歴書や職務経歴書を見ながら応募者へ質問していきます。一問一答形式で質問攻めにするのではなく、応募者の回答を掘り下げたり、話題を広げたりして会話の形になるように進めましょう。

④応募者の希望条件の把握

入社後のキャリアや、具体的にどういった仕事を希望しているのか、またどのような働き方を望んでいるのかなどを聞き、応募者の描いているビジョンとマッチしているか、そのビジョンを実現できるかどうかを確認していきましょう。

⑤質疑応答・応募者の疑問解消

面接官が確認したいことを一通り聞き終えたら、応募者の疑問解消のための質疑応答の時間を設けましょう。質問にはその人の価値観や大切にしていることが反映されやすいですし、応募者の気になることを解消しないまま終わってしまうと志望度は下がってしまうので、次の選考にも進んでもらえる可能性を広げるためにも応募者の疑問点をクリアにしておきましょう。

もしその場で回答することが難しい場合は曖昧なままにせず、面接終了後に調べたり確認を取ったりして、できる限り迅速にメールなどで回答するように心がけます。

⑥事務的な確認

最後は、今後についての確認をしましょう。合否連絡の方法や連絡するまでの日数、通過した場合の今後の選考スケジュールなどを応募者に伝え、それ以外の諸連絡も併せて行います。

面接が終了すると、緊張が解けて気が抜けがちですが、お見送りまで手を抜かず、面接に来てもらったことへの感謝の気持ちを表しましょう。

すぐに活用できる面接質問集

①リラックスした雰囲気作りを行なうための質問

  • 駅からの道は迷われませんでしたか?
  • 電車は混んでいませんでしたか?
  • お仕事場は、近くですか?
  • 今日はお仕事帰りですか?
  • 先日の面接はいかがでしたか?
  • 最近寒くなってきましたね。

ポイントはイエス・ノーで回答できるような簡単な質問にすることです。

簡単な質問でも何回かやり取りを重ねていくうちに、リラックスした雰囲気が作られていきます。

②仕事の適性をみる質問

  • 自己紹介をお願いいたします。
  • 現職の会社ではどのような業務を担当していましたか?
  • 今の業務でどのような点を工夫されましたか?
  • ○○についての知識はお持ちですか?
  • 今の業務で大変だったことはありますか?
  • 仕事の中で最も努力したのは何ですか?ぜひエピソードも教えてください。

1つひとつの回答の理由・背景を聞き、質問を重ねていくことで、応募者への深い理解に繋がります。業務については抽象的な表現になることが多いので、「具体的には?」という質問が有効的です。

③退職理由のホンネを聞く質問

  • 退職をしようと思ったきっかけを教えてください。
  • 何が決め手で退職を決めたのでしょうか?
  • 今の会社や仕事が●●だったら、辞めていないだろうなと思うような点はありますか?
  • なぜ今、転職をしようと考えたのですか?
  • この条件があったら、現職に残っても良いなと思うものは何ですか?
  • 応募いただいた仕事とこれまでの仕事の違いはどこにあると考えますか?
  • 退職後にブランク期間があるのはなぜですか?

せっかく入社してもらったのに同じ理由で退職となってしまうのは、お互いにもったいないですよね。退職理由は、応募者の本音が出にくい部分なので、「なぜ?」を繰り返して、本当の気持ちが出てくるようにしましょう。

④志望動機や仕事へのスタンスを聞く質問

  • 弊社を志望した理由を教えてください
  • 弊社のどのような点に魅力を感じましたか?
  • 会社選びで何を重視していますか?
  • 転職を通じて、当社にどんなことを期待しますか?
  • どのような判断基準で応募企業を選択していますか?
  • 他にどんな企業へ応募していますか?その企業と弊社の違いはどこですか?
  • 仕事をするうえで大事にしたいこと、譲れないことは何ですか?
  • この業界の今後は、どのようになると考えますか?
  • 〇〇さんが仕事で大切にしている考え方は、ありますか?

応募者の価値観・考え方を知ることができるので、積極的に聞いていきましょう。

⑤キャリアビジョンについて

  • 仕事を通してなりたい人物像を教えてください。
  • 入社後はどのように活躍したいですか?
  • 3年後のキャリアビジョンを教えてください。
  • 10年後のキャリアビジョンを教えてください。
  • 仕事に限らず、将来のために、日々取り組んでいることはありますか?
  • スキルに関しての目標はありますか?
  • その目標のために何か行動していることはありますか?

こちらも応募者の価値観・考え方を知ることができるので、積極的に聞いていきましょう。

⑥人柄を見分けるための質問

  • あなたの強みは何ですか?当社の仕事のどこで活かせますか?
  • あなたの上司は、あなたの強みと弱みをどのように認識していると思いますか?
  • 友人は、あなたのことを、どんな性格だと思っていますか?
  • これまでの人生で挫折したことはありますか?どう対処しましたか?
  • これまで人間関係で困った事は何ですか?どう解決しましたか?
  • 仕事で失敗をしたときに、どうやって気持ちを持ち直しますか?
  • ストレス発散の方法は何ですか?
  • これまでに努力したことは何ですか?具体的に何をしましたか?
  • 仕事に限らず、常に勉強していることはありますか?
  • 『これはあまり任せてほしくない』『他の方のほうが適任だ』と思う仕事や役割はありますか?
  • あなたがこれまでに『働きやすい』、あるいは『働きにくい』と感じた環境を教えてください

人間性や性格を把握することは、入社後に活躍してもらうためにも大切です。こういう部分は履歴書などからは読み取れない部分になるため、できるだけ引き出せるようにしておきましょう。応募者の性格や価値観を知る質問を通して、社風や一緒に働くメンバーに合うかどうかも見極めていきましょう。

⑦応募者の動機付けに役立つ質問

  • 面談や面接を通して、当社の印象が変わったと思うところがあれば、教えてください
  • ご応募いただいたポジションについて、疑問点や不明点はありませんか?
  • ご応募いただいたポジションは、今までのデータでは残業が月平均●時間あります。その点については、どのようにお考えですか?

これらの質問は応募者と会社のミスマッチを防ぐためにも大切です。

⑧その他

  • 今回の転職で、いくら志望度が高くてもこの金額だったら了承できない、と思う年収額はいくらですか?
  • 他に転職活動をしている業界はありますか?
  • 現在、何社くらい選考を進まれていますか?
  • 最後に、伝えておきたいことがあれば教えてください。
  • 最後に何か質問はありますか?

応募者の見極めるべきポイントは?

上記の質問以外でも、応募者を見極めるべきポイントがあるのでご紹介します。

①姿勢が悪く、挙動で気になる部分はないか

入室時の挨拶や着席するまでの挙動・椅子に座る姿勢などで、応募者のビジネスマナーがある程度分かります。おどおどしすぎる場合や、失礼な対応になっている場合は注意が必要です。

②会話する時に面接官の目を見ているか

目は自信や意思の表れでもあるため、相手に伝えたいという想いが強ければ、相手の目を見ながら話しをするはずです。また面接官が話をしている時に、ちゃんと目を見て頷いているかなども重要なチェックポイントです。

相手の話をしっかり聞く傾聴力があるかどうか、対人関係などがスムーズにできるか、相手に好印象を与えられるコミュニケーション力があるかどうかを確認できます。

③声の大きさ、トーンが変わらずに話せているか

声の大きさの変化も相手を見極めるために有効です。自信なさそうに話している時や話を大げさに言っている時は、声も小さくなるので、質問をした時に声に変化があるかどうかも見るようにしましょう。

④適度にうなずきながら会話ができているか

相手の話を頷いて聞いている応募者は、相手の話を受け止めながら会話が出来るタイプなのでコミュニケーションを円滑に取れる可能性が高いです。

面接官のNG行動

面接官を務める際に、心構えと同時に肝に銘じておきたいのがNG行動です。NGな態度や質問は応募者のモチベーションを大きく下げるだけではなく、場合によっては就職差別にもつながってしまいます。そのため、下記のような行動を取らないよう留意しましょう。

①NGな態度

応募者に興味がない、応募者を軽んじている、応募者を否定していると思われてしまうような態度や行動はNGです。応募者に敬意を払い、面接官も判断される側なのだという自覚をもって接することが大切です。

以下は面接官としてNGな態度の例です。

A.悪印象を与える態度

あくび、腕組み、険しい表情、背もたれに寄りかかるといった不遜な態度は、応募者に悪印象を与えます。応募者は面接官のふとした仕草から面接官の人格や社風などを感じ取ろうとしているため、こうした態度は避けるべきです。

また、応募者の話を頭ごなしに否定することも控えましょう。頭ごなしに否定してしまうと、応募者はその後の質問に受け答えしづらくなってしまいます。もし自社や採用に対しての誤解や事実でないことを話していたとしても、応募者の話を聞き終えてから改めるなどの対応をしましょう。

他社を悪く言うことも、面接官として控えたいことの一つです。自社の評価を上げたいがために他社を悪くいう面接官もいますが、品位の低さを応募者に見抜かれてしまうため、逆効果です。

B.メモを取り過ぎる、資料や評価シートばかり見ている

面接の際に応募者の目を見て話を聞かなかったり、ずっと下を向いてメモを取っていたりという態度も避けましょう。こうした態度は、応募者から見ると「あなたには興味がありません」というメッセージに捉えられてしまう可能性があります。

応募者の方を向き、目を見て相槌を打ちながら応募者の話を聞くようにしましょう。

②NGな質問

面接の場で留意すべきNGな質問は、就職差別に繋がる恐れがある質問と、ハラスメントに繋がる恐れがある質問の2種類です。質問をする際は応募者を尊重し、適性や能力を判断するための質問のみをするように心がけましょう。

特に、家族構成や交際、資産や思想などに関する質問は、プライバシーの侵害にあたるので注意が必要です

◎就職差別につながるおそれがある質問

■本人に責任のない事項の把握
【本籍地】
  • 本籍地はどこになりますか?
  • ご両親の出身地を伺っても良いですか?
  • 生まれたのはどこですか?生まれてから現住所に住んでいるのですか?
【家族の職業】
  • お父さんの勤務先と役職を教えてください。
  • 家業は何をやっているのですか?
【家族の収入、資産、住居状況】
  • ご両親は共働きですか?
  • 奨学金などはありますか?学費は誰が出したのですか?
  • 一戸建てですか、賃貸ですか?
【自宅付近の略図、経路など】
  • お住まいの地域は、どんな環境ですか?
  • 近くに目印となる建物はありますか?

身元調査の実施や、合理的・客観的に必要性が認められない採用選考時の健康診断の実施も就職差別につながるおそれがあることに留意しましょう。

■本来自由であるべき事項(思想信条にかかわること)の把握
【思想・宗教、支持政党、尊敬する人物】
  • 信条としている言葉を教えてください。
  • 尊敬する人物を教えてください。
  • 支持している政党はありますか?
  • 何教を信仰していますか?
  • どんな本を愛読していますか?

他にも労働組合に関する情報や、学生運動など社会運動に関する質問は避けなければなりません。

◎ハラスメントや差別につながるおそれがある質問

【男女雇用機会均等法に抵触する質問】
  • 結婚、出産した場合も働き続けますか?
  • 結婚の予定はありますか。

その他に性別や年齢、容姿に関する質問もNGです。

オンライン面接のポイント

昨今はオンライン面接を採用する企業も増えました。直接会って行う対面面接とは異なる点もあるため、オンライン面接の注意点を確認しておきましょう。

①対面時より丁寧にアイスブレイクをする

オンライン面接では、対面に比べて緊張がほぐれにくいと言われています。そのため、対面での面接時よりもアイスブレイクの時間を長めに取り、応募者がビデオ通話の雰囲気に慣れてから質問を始めましょう。

②音声や画像の通信状態や、説明に分かりにくい点がないかを度々確認する

オンライン面接では、音声が聞き取りにくい、画像が見えないなど通信状態のトラブルが起こりやすいです。応募者から言い出しにくい場合もあるため、面接官の方から「音声は聞き取りにくくないですか?」「画面表示に問題はありませんか?」と確認をしましょう。

通信状況が悪くオンライン面接の続行が難しい場合は、電話で話す面接に切り替えるなど、面接が続行できるよう臨機応変に判断・対応することが求められます。

また、オンライン面接のツールの使い方に慣れていない応募者もいるため、事前にメールなどでツールの使い方の説明を行いましょう。

③目線が合うよう、意識的にカメラを見る

オンライン面接で画面ばかり見てしまうと、応募者からは常に目線が外れているように見えてしまいます。カメラに目線を合わせるように意識して調整しましょう。

また、カメラの位置が顔よりも下にあると見下ろす角度になってしまい、印象が悪くなってしまいます。目線と同じくらいの高さにカメラが来るよう、カメラの位置も調整しましょう。

④相槌はいつもよりオーバーにする

対面で会話をしている時の私たちは、言語以外の、目線や声の抑揚、話すスピード、しぐさ、姿勢、表情など、様々な情報を含めてコミュニケーションを取っています。これらは「ノンバーバルコミュニケーション」と呼ばれ、人の印象を大きく左右すると言われています。

画面上では「ノンバーバルコミュニケーション」による情報交換が対面時よりも難しくなるため、相槌やリアクションは対面時よりもオーバーに行うことを心がけましょう。

まとめ

よりよい面接を行うためには「リラックスできる場づくりが大事」です。リラックスできると、その人の人となりも見えてきますし、会社の魅力が伝わりやすくなります。そうすると、良い面接ができて、見極めに必要な情報が手に入り、応募者の志望度も高められます。

面接官は、応募者が自社に合う人物かどうかを見極めるとともに、入社したいという動機を形成することも目的としています。そのための情報を応募者からスムーズに引き出せるよう、求める人材像を把握し、予め質問を考え、応募者からの質問への回答も用意するなど、事前準備をして面接に臨みましょう。

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