社内研修を実施する際、どのような方に講師を依頼するか悩んでいませんか。研修のテーマは企業によってさまざまです。テーマに応じて、その分野の専門知識がある講師を選ばなければ、社内研修を実施しても社員の知識やスキルの向上につながりません。
そこでこの記事では、社内から研修講師を選ぶメリットやデメリット、選び方について解説します。また、社外講師についても説明していますので、ぜひ参考にしてください。
社内研修講師の6つのメリットとは
近年、企業向けの研修会社による派遣講師の活用と並行して、社員の中から講師を選んだり、社内で講師を募集したりする企業も増えてきました。自社の状況をよく理解し、専門知識のある社員が、社内研修の講師を担当する場合、どのようなメリットがあるのでしょうか。ここからは、社内で研修講師を選んだ場合のメリットについて解説します。
①融通がきく
研修講師を社内から選ぶと、スケジュールの変更や追加の依頼といったあらゆる面で融通がききます。外部講師は、自社のほかにもさまざまな会社に派遣されているため、急なスケジュールの変更には対応できません。仮にスケジュールを変更できたとしても、追加の費用が発生してしまうでしょう。
社内講師の場合は、スケジュールを変更しても費用はかかりません。しかし、融通がきくとはいえ、社内講師にも通常業務があるため、スケジュールの変更は最小限にとどめましょう。
②コストを削減できる
社内研修の講師を社員から採用すれば、金銭的コストが削減できます。社員を講師にする場合は、業務の一環として扱われるため、講師費用は発生しません。外注した場合は、講師に対して高いスキルや知識を求めれば講師費用も高額になりますし、資料の作成にも費用がかかるでしょう。
また、金銭的なコストと同時にコミュニケーションコストも削減できます。社内研修の講師を採用すれば、事前に社内の文化や雰囲気も把握しているので、受講者の温度感を掴みやすいです。アイスブレイクなどの時間も削減でき、効率的な社内研修を実現できることでしょう。
③研修後も講師に質問できる
研修講師を社内から選ぶと、研修後も講師に質問できるメリットがあります。外部講師を採用した場合、研修が終わると、質問する機会はありません。分からない部分をそのまま放置しないので、社員の理解度が格段に向上します。結果、知識レベルが高い社員の育成が期待できます。
④会社内をよく知っている
社内で講師を採用する大きなメリットとして、講師が会社の状況をよく理解している点が挙げられます。社内の機密情報や社外秘のデータを活かした研修ができるので、即戦力となる人材が育つでしょう。講師の得意分野を活かした研修が実施できれば、充実した社内研修になり受講者の知識レベルの向上につながります。
⑤講師と受講者につながりができる
講師と受講者につながりができるのも、社内講師を採用するメリットになります。なぜなら、人脈の構築は社会人として有利に働く場合が多いからです。人脈が広がり信頼関係が構築できれば、業務内容を相談して課題解決も可能です。会社生活において、信頼できる相談相手がいれば、一人で悩みを抱え込むなどの状況になりません。
⑥講師として成長できる
社内研修で講師を務めると、受講者だけではなく講師側にも成長の機会が与えられます。「教える」や「伝える」などの技術がなければ、自分の知識やスキルを社内で活かすことができません。社内の研修講師は、あくまでも研修の実施と受講者の成長が目的ですが、社内研修を自身で担当する際は、自身の「アウトプット」の場ととらえれば、受講者と講師の両方に大きなメリットがあるといえるでしょう。
引用:勉強ではやっぱり「アウトプット」する人が強い! あなたが紙に書き出すべき3つのこと
社内研修講師の4つのデメリットとは
社内研修の講師を採用するのには、メリットだけではありません。通常の業務をこなしながら講師を務めるので、講師自身の負担が大きくなるなどのデメリットもあります。ここでは、社内研修の講師を社員が担う場合、どのようなデメリットがあるのかお伝えします。
①講師への負担が大きい
まずデメリットとして挙げられるのは、講師への負担が大きい点です。社内研修の講師を担当する方は、自分の業務の調整をしながら社内研修の講師を努めなければなりません。通常の業務に加えて講師業を担うので、負担は大きくなるでしょう。
講師の負担が大きくなると、社内研修がストレスになるだけでなく、普段の業務にも影響が出てしまいます。そのため、社内で講師を選ぶ場合は、講師の負担に配慮しつつ社内研修を進めるようにしましょう。
②適切な講師が見つかりにくい
社内に研修講師として適切な人材が見つかるとは限りません。社内研修を実施するにあたり、研修講師として社内に適任がいなければ外部に講師を依頼するしかないでしょう。費用はかかりますが、講師の質を下げてしまうと研修の意味が失われます。
③講師によって研修内容に差が生じる
社内で研修講師を選ぶ場合は、研修内容に差が生じる点を想定しておかなければいけません。なぜなら、社内の研修講師は講師専業ではないからです。外部の講師は、どなたが派遣されても一定以上のクオリティの研修を行ってくれます。しかし、社内から講師を選ぶ場合、講師に慣れていない方が研修を行う場合もあるので、研修のクオリティにばらつきが生じるでしょう。
解決方法としては、研修の進め方のマニュアルの準備が挙げられます。マニュアルがあれば、誰が講師を担当しても一定のクオリティは保てるでしょう。
④受講者との距離が近すぎる
4つ目のデメリットは、講師と受講者との距離が近すぎる場合がある点です。例えば、同じ部署のなかに受講生と講師がいる場合、普段は業務を共にしています。普段から程よい距離関係にあるならばそれほど影響はありません。しかし、距離が近すぎると上司と部下の関係から、受講者と講師の関係に変化するときに違和感を覚える可能性があるでしょう。
具体的には、距離が近い受講者にとっては「日頃から注意されていることだから、改めて説明されても内容が頭に入って来ない。」距離が遠い受講者にとっては「あの人は同じ部署だから、講師に気に入られている。」などといった意識が生まれることがあり、当事者意識の欠如や不公平感により、意図した研修効果が得られないケースがあるため注意しましょう。
社内研修講師に要求されるスキルとは
社内研修の講師を務めるには、さまざまなスキルが要求されます。企画構成のスキルはもちろん、受講者とのコミュニケーションも大切なスキルの1つです。ここでは社内研修の講師に要求されるスキルについて解説します。講師を務める方は参考にしてください。
企画構成スキル
企画構成スキルとは、研修や資料を構成するのに必要なスキルです。企画構成スキルが優れている方ほど、効果的な研修が実施でき、わかりやすい資料を作成できます。社内講師における企画構成スキルは、担当するカリキュラムを構成するときに発揮されるでしょう。
なお、優れた企画構成スキルを持っている人材が社内研修を担当するメリットは、受講者の学習効率が上がるだけではありません。その研修の企画構成を次回の研修でも再利用できるメリットもあります。
コミュニケーションスキル
コミュニケーション能力とは、他人とのやりとりを円滑あるいは柔軟に行うためのスキルです。社内研修の場合、受講者との対話の際に発揮されます。講師から受講者への一方通行のコミュニケーションではなく、講師は双方向のコミュニケーションを意識しなければなりません。
受講者に質問や意見を求めるときは、威圧的な態度にならないように気をつけましょう。また、受講者の集中力の維持や学習意欲を高めるためにも、研修中にコミュニケーションを取るのは効果的です。
インタラクションスキル
インタラクションスキルとは、受講者が自らアクションを起こしてくれるように促すスキルをいいます。コミュニケーション能力と似ているものの、受講者により一層積極的になってもらう点では異なるスキルといえるでしょう。
講師側からアクションを起こすように誘うのではなく、受講者が自発的にアクションを起こしたいと思えるような雰囲気づくりをするのが重要です。
ファシリテーションスキル
ファシリテーションスキルとは、会話の流れをスムーズにするスキルをいいます。講義を進行するときやディスカッション形式の研修で、アドバイスするときに発揮されます。会話を活性化できると、さまざまな意見が出るのでディスカッションの内容が深くなります。
また、場の雰囲気を温められるようなアイスブレイクのきっかけとしても役立つスキルといえるでしょう。
社内研修講師の選び方
社内研修の講師を選ぶ際に、いくつか気をつけなければならない点があります。コミュニケーションスキルなどはもちろん、講師としての幅広い知識を持ち合わせているかどうかも重要でしょう。ここでは、社内研修の講師の選び方について解説します。
受講者との距離感が適切か
受講者との距離感を適切に取れる社員を選びましょう。受講者と講師の距離が適切だと、適度な緊張感が生まれます。適度な緊張感は、受講者の集中力を維持するのに効果的です。一方、受講者と講師の距離が近いと緊張感は生まれません。なかには、距離感が近い方が気を使わずに済むという意見もあるでしょう。
しかし、特定の受講者とだけ距離が近いとなると、指導や会話に差が生じるかもしれません。研修は、受講者全員のレベルアップを目的としているので、内容に差が生じるのは研修として不適切といえます。
幅広い知識やスキル、ノウハウを持っているか
社内研修の講師には、幅広い知識やスキル、ノウハウを持っている社員選びが必須です。専門的な知識が多ければ、受講者からの質問に的確に答えられます。受講者からの意見を吸収して適切なアドバイスができるでしょう。また、ノウハウが多ければ、多くの知識やスキルを教えられます。
例えば、営業力を上げる研修の際、1つの営業アプローチしか知らない講師よりも、複数の営業アプローチや成功・失敗事例を持っている方が講師をした方が受講生にとって多くの学びがあり効果的です。
社内で研修講師が見つからない場合
どうしても社内で研修講師が見つからない場合は、社外の講師を外注しましょう。社外に在籍する講師は専門的な知識やスキルを多く持ち、研修講師としてトレーニングも積んでいます。さまざまなジャンルに渡っての講師が複数在籍しているので、自社の研修目的やテーマに沿った研修をしてくれる講師が見つかるでしょう。
ここからは、外部講師に研修を依頼する場合に考えておきたいメリットやデメリットについてお伝えします。
社外講師のメリット
社外講師のメリットは、以下の通りです。
- 研修のプロが指導してくれる
- 研修担当者の負担を減らせる
- 会社の外からの意見を聞ける
- 外部の人間が指導するので適度な緊張感を保てる
社内と社外という視点の違いによるメリットが、数多く見られます。研修において、社内で聞けないような新鮮な意見が聞けるのは魅力的ではないでしょうか。また、社内の教育担当者の負担を減らせるのは大きなメリットでもあります。
社外講師のデメリット
社外講師のデメリットは、以下の通りです。
- 費用がかかる
- スケジュールの調整が難しい
- 社内の文化に合う研修を実施するには念入りな打ち合わせが必要になる
社外の方に研修講師を依頼するので、外注費用がかかります。社内講師の場合は、外注費用が不要であるのに対し、社外講師に依頼する場合は予算の計画から立てなければなりません。
なお、新入社員研修の費用は、半日(3〜4時間ほど)で約15万円〜20万円、全日(6~8時間ほど)で約20万円〜40万円が相場ですが、依頼する講師や研修サービスを提供する法人によっても違いがあり、受講人数や研修内容によっても料金が大きく異なるため、まずは自社に必要な研修カリキュラムの内容を考えてから費用を比較するといいでしょう。
また、外部講師は常に講師の仕事が入っているので、社内講師よりもスケジュールを調整するのが難しいかもしれません。人気のある講師だと研修実施日に押さえられない可能性もあります。
さらに、社外講師は社内の文化を理解した上で研修を実施することが比較的難しいというデメリットもあります。そのため、社内の文化に合わない状態で研修が実施されてしまうかもしれません。効果的な研修を実現するためには、社外講師と念入りな打ち合わせが必要ですが、次回以降も継続して同じ外部講師に研修を依頼する場合は、改善されるデメリットでもあります。
また複数日にまたがって研修を実施するケースであれば、初日に基礎的な知識を身に付けるための座学中心やアイスブレイク、事例共有を中心の研修を実施して社内の文化や受講者の温度感を掴んでもらい、2日目以降に体験型研修などを通じて、社内の文化や実務に沿った研修を実施してもらう、といった方法でも、上記のような事態を防ぐことができます。
まとめ
この記事では、社内研修を行う際の講師、主に社内から講師を選ぶ場合について解説しました。社内講師には、自社の社員ならではのメリットがあります。例えば、日程調整などの融通がきいたり社内の情報を保有したりしている点です。しかし、講師業と通常の業務との両立が難しかったり、研修のトレーニングを積んでいなかったりのデメリットもあるでしょう。
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