社内研修は種類が豊富で、社員に研修を受けさせる場合、どの研修がふさわしいか判断に迷う場合があります。適当な内容の社内研修を受けさせてしまうと、研修効果が下がり、受講者のスキルや知識が思うように伸びず、業績が伸び悩むかもしれません。
そこで本記事では、社内研修の種類をカテゴリー別に解説します。現在、社内研修の種類についてお悩みの方はぜひ参考にしてください。
社内研修とは
研修とは、社員を教育するために行う勉強会、講座、トレーニングなどを指します。社内研修の場合は、受講者となる社員が所属する企業(自社)が主催し、社内の人間が講師役を担います。では、社外研修とはどのように違うのでしょうか。この章では、社内研修と社外研修の違いについて解説します。
社内研修の4種類の実施方法
社内研修の実施方法には以下の4種類があります。
名称 | 概要 |
OJT | 実際に働きながら知識やスキルを会得する方法。実践が中心。 |
Off-JT | 職場、現場とは異なる場所で、業務の知識を習得する方法。座学が中心。 |
eラーニング | 動画やオンライン資料を見ながら知識やスキルを身につける方法。座学と実践どちらも行う。 |
オンライン研修 | オンライン上でリアルタイムで研修する方法。座学やディスカッションが中心。 |
それぞれの特徴から、会社の業務や経営理念に沿った方法を選ばなければなりません。
社内研修と社外研修の違い
以下のように、社外研修にはさまざまな定義があります。
- 研修会場を社外に設ける
- 研修を代行企業に依頼する
- 外部から講師を招いて研修する
多くの場合、外部講師が行う研修を社外研修と言います。それぞれのメリットは以下のとおりです。
研修方法 | メリット |
社内研修 | 企業内部の情報を詳しく知っている社内の人物が企画、講師をつとめる。 |
社外研修 | 研修や教育の知識を豊富に持った社外の人物が、講師をつとめる。 |
このように、社内研修と社外研修は異なるものです。混同すると、研修を企画・実施する際に社内外の連携ミスが発生するなど、トラブルに発展する恐れがあるので注意しましょう。
社内研修の目的
社内研修には以下のような目的があります。
- 一般的なビジネススキルを学ぶ
- 業務に必要なスキルを身につける
- 社員同士のコミュニケーションを促す
- 人材教育に力を入れているアピールをする
- 企業理念や業務内容など企業についての理解を深める
現在、あらゆる業種・職種の企業で「社員教育の重要性」や「社外研修の必要性」が高まっているなどの声が広がっています。その要因として、テレワークや動画研修を導入したものの、実際の社員同士のコミュニケーションが不足していることによるトラブルの発生が挙げられるでしょう。例えば、社員同士の認識のズレなどです。
社員同士の認識のズレは、業務中の連携ミスや人間関係の悪化、退職率の増加などさまざまな弊害につながります。また結果的に企業の信頼性損失・クレームにつながるケースもあるので、業務に必要なスキルを身に付け、社員同士のコミュニケーションを促す研修を企画することの重要性が高まっています。
引用:中小企業の9割以上が「社員教育・研修の重要度」の高まりを実感 半数以上から「社内で教え合う文化を定着させ、能動的な学習を促進するため」との声
【職種別】おすすめの社内研修の種類3選
社内研修は、職業によって内容が異なります。営業には営業向けの、事務職には事務職に適した研修を実施し、それぞれの業務の課題解決に取り組む必要があるでしょう。そこでこの章では、職種ごとに分けておすすめの研修を解説します。該当の職種の方は、ぜひ参考にしてください。
営業職向けの社内研修
営業職におすすめの社内研修には、以下のようなものがあります。
- ルート営業研修
- ヒアリング研修
- クロージング研修
- 営業マネジメント研修
- コミュニケーション研修
- プレゼンテーション研修
- 営業・ビジネスマナー研修
営業職の研修は、まとめて「営業研修」と呼ばれる場合がほとんどです。しかし、現在では営業研修も細分化されており、冒頭で挙げたようにさまざまタイプの研修が生まれています。具体的な研修プログラムとしては、以下が挙げられます。
- 自社で扱っている商品の理解
- 営業中の問題を解決するためのスキル取得
このような研修プログラムによって、営業力やコミュニケーション能力、問題解決能力を育む内容が多いでしょう。
企画職向けの社内研修
企画職向けの社内研修には、以下のものがあります。
- 企画力研修
- 発想力研修
- 企画力向上研修
- eラーニング企画力研修
- 社内資料作成力強化研修
基本的には、新規事業のための企画力や業務を改善するための企画力を身につける内容が多いでしょう。企画力を充実させるために、以下のようにアイデア力や発想力を鍛えるプログラムが組まれています。
- 事業計画の立て方を学ぶ
- チームごとに企画書を練る
- 表を使ったマトリックス法で革新的なアイデアを考える
これらの研修プログラムでは、考えたアイデアを業務にどう活かすか、社会にどう貢献できるのかを考えさせることが重要です。
事務職向けの社内研修
事務職向けの社内研修には、以下のような種類があります。
- Excel研修
- ファイリング研修
- ビジネスマナー研修
- コンプライアンス研修
- タイムマネジメント研修
- ロジカルシンキング研修
- セルフモチベーションアップ研修
事務職では、データや書類の処理についての高い能力が必要です。そのため、事務職の研修ではデータの扱いや必要なツールの扱い方の習得を目的としてものが多いでしょう。具体的な研修プログラムは、以下のとおりです。
- 組織分析
- Excelの関数の学習
- 問題解決のシミュレーション
また、事務職は顧客との接点が多い職種でもあります。顧客と会話するなかで失礼にならないように、ビジネスマナーや接客、電話やメール対応の練習も目的の1つに含まれるでしょう。
【社員別】おすすめの社内研修の種類4選
社員の階級によって、社内研修の内容は異なります。新入社員には社会人としてのビジネスマナーが必要ですし、管理職には管理職として経営に役立つ研修が必要です。それぞれの階級に合わせて、課題を解決できる社内研修でなければなりません。この章では、おすすめの社内研修を社員の階級ごとに解説します。
新入社員向けの社内研修
新入社員向けの研修には以下のような種類があります。
- OA研修
- ITスキル研修
- ビジネスマナー研修
- メンタルヘルス研修
- ビジネスマインド研修
- コミュニケーション研修
- ロジカルシンキング研修
このように、新入社員向けの社内研修では、業務の対する基礎的な知識やスキルを習得し、社会人としての自覚を持たせる内容の研修が多いでしょう。
若手社員向けの社内研修
若手社員向けの社内研修には、以下のような種類があります。
- 現場リーダー研修
- 問題解決能力研修
- ロジカルシンキング研修
- セルフマネジメント研修
- タイムマネジメント研修
- キャリアマネジメント研修
若手社員向けの社内研修には、ほかの社員をまとめる力をつける研修や自身の能力をさらに飛躍させる内容の研修が多い傾向にあります。より専門的な知識やチームを引っ張っていくリーダーシップを身に付けさせることが重要です。
中堅社員向けの社内研修
中堅社員向けの社内研修には、以下のような種類があります。
- メンター研修
- 部下育成研修
- コーチング研修
- マネジメント研修
- OJTトレーナー研修
- フォロワーシップ研修
- プレゼンテーション能力強化研修
新入社員や若手社員の研修に比べると、業務に関する学習が少なく部下育成のための研修が増えています。また、目的としては以下の3つが挙げられます。
- キャリアアップのために必要なスキルを身につけてもらう
- 次世代のリーダーを見つける
- 部下育成のための知識やスキルを身につけてもらう
新入社員と比べて豊富なビジネススキルを持った社員に対して研修するため、よりレベルの高い内容の研修が多いでしょう。
管理職向けの社内研修
管理職向けの社内研修には、以下のような種類があります。
- 採用研修
- BCP研修
- 役員養成研修
- コーチング研修
- コストダウン研修
- マネジメント研修
- リーダーシップ研修
- マーケティング研修
- 業務フロー改善研修
- チームビルディング研修
管理職になると、会社の経営に携わる場合もあるでしょう。そのため、会社の経営に役立つ知識やスキルを学べる研修を受講させることが多いでしょう。利益の確保ができる社員の育成や、会社の経営戦略に役立つスキルを持った人材の確保を目的として行われます。
【目的別】おすすめの社内研修の種類4選
社内研修は、どういった目的で実施するのかを見極めるのが重要です。新入社員にはビジネスマナーが必要ですし、営業職に就くならばコミュニケーション能力を高めなければなりません。そこで、ここでは、目的別におすすめの社内研修を解説します。目的にあった研修に参加すれば、スキルアップが期待できるでしょう。
ビジネスマナーを学ぶための社内研修
ビジネスマナーを学ぶためには、ビジネスマナー研修がおすすめです。新入社員向けが多く、以下のようなプログラムを含んでいます。
- 言葉遣いを学ぶ
- 顧客対応について学ぶ
- 挨拶や態度について学ぶ
- コミュニケーションについて学ぶ
- 社会人にふさわしい身だしなみを学ぶ
ビジネスマナー研修は、ビジネスマナーを身につけ、顧客や社員同士で失礼がないようにするのが目的です。また、新入社員に社会人としての意識づけをしてもらうのにも役立ちます。
ITスキルを高めるための社内研修
ITスキルを高めるための社内研修には、以下のようなものがあります。
- DX人材育成研修
- IT基礎研修
- IT資格研修
- インフラ研修
- システム設計研修
- WEBデザイン研修
- プログラミング研修
これらの研修では、ITの基礎知識から専門知識まで幅広く学び、ITスキルを高めることによって業務を効率化させることが目的です。IT業界にはさまざまな職種があるため、その分研修の種類もさまざまです。
コミュニケーション能力を高めるための社内研修
コミュニケーション能力を高める社内研修には、以下のような種類があります。
- ディベート研修
- ネゴシエーション研修
- ビジネストーキング研修
- ファシリテーション研修
- ビジネスライティング研修
- 社内コミュニケーション研修
- 社外コミュニケーション研修
受講者同士で話し合いながら行う研修が多く、特にディベート研修やファシリテーション研修は、コミュニケーション能力と同時に問題解決能力を身に付けさせることが目的です。「同僚」「上司」「部下」「顧客」「取引先」など、誰に対してのコミュニケーション能力を高めるかが研修を企画する際に重要となります。
マネジメント学習のための社内研修
マネジメント学習のための社内研修には、以下のような種類があります。
- 新任管理職研修
- 既存管理職研修
- 上級管理職研修
- チームビルディング研修
- プレイングマネージャー研修
マネジメントする立場になるまで、マネジメントについて学ぶ機会はほとんどありません。そのため、多くの企業では基礎からマネジメントを教えることを目的とした社内研修を管理職に実施しています。マネジメントする立場を自覚させつつ、部下の行動や成果に対して何を基準に評価し、どのツールを使って管理するかなど、実際にマネジメント能力を高める研修を実施し、マネジメント層を教育することが企業において必要不可欠です。
【5ステップ】一般的な社内研修の進め方
社内研修は、社員の育成や業務における問題を解決するのはもちろん、スキルアップや知識を深めて組織の利益を向上させる目的もあります。問題を明確にさせることから、社内研修実施後の振り返りまで、ステップを踏んで取り組めば研修の効果を得られるでしょう。この章では、一般的な社内研修の進め方について、5つのステップで解説していきます。
①研修で解決したい問題を明確にする
研修について考える前に、研修で解決したい問題を明確にしてください。問題を明確にする理由は以下の通りです。
- 研修は実際に業務で発生している問題を解決するために実施するから
- 何のために研修を実施するのか研修を企画する際に途中でわからなくなるから
- 問題を明確にしないと研修の内容に一貫性がなくなり中身が薄くなるから
例えば、社内ツールの入力ミスや報告漏れが多いことによる「ITリテラシーの問題」や「コミュニケーションの問題」を解決したいのにもかかわらず、単に「社内ツールの使い方を学び、ITスキルを向上させる研修」を実施してしまうことが起こり得ます。
社内ツールの使い方を学ばせることも決して間違いではありませんが、「何のために社内ツールにデータを入力するのか」=「入力した内容が資料の送付先や請求書作成に必要な情報だから」や「データを一元管理し、集計に使用するから」であったり、「誰に対して、何のために、報告するのか」=「上司に報告し、適切な指示やアドバイスを受けるため」や「事例を共有し、同様のトラブルに今後迅速に対応するため」であったり、「社内ツールの入力ミスや報告漏れが多い」という問題によってどのような弊害が発生しているのかを明確にして研修を実施することで、受講者の認識のズレをなくし、研修効果をより高めることができます。
注意点として、解決したい問題は1つか2つに絞らなければなりません。学ぶ内容や目的を増やしすぎると、研修の内容が薄くなったり研修に必要な日数が増えたりしてしまいます。
②研修の計画を立てる
問題を明確にしたら、次は研修の計画を立てましょう。計画を立てる際は、以下のステップで行うとスムーズに進みます。
- 研修のゴールを設定する
- 具体的な研修内容を考える
- 研修の進め方を考える
- いつ研修を実施するのかを決める
- 研修の担当者を選ぶ
- 研修後の対応を考える
注意点として、上記の順番を守って、研修の計画を立てるようにしましょう。たとえば、研修のゴールや具体的な内容を決めるときにタイムスケジュールや必要な備品であったり、いつ誰が担当するのかであったり、といった細部を考えてしまうと、時間が掛かる上に、「必要な時間や備品が確保できない」からや「誰も担当することができないから」といった理由で、研修内容を変更してしまうことで、研修効果が下がり、受講者のスキルや知識が思うように伸びず、本来の問題を解決できなくなる。といった事態になりかねません。
まずは、大まかな内容から決めて徐々に細部を詰めていき、設定したゴールに到達することで本来の問題が解決する。といった流れで、研修を実施することが重要です。
③研修対象者に実施の旨を伝える
研修の計画が終わり、実施日程や時間が決定したら、研修対象者に実施の旨を伝えます。方法としては、社内メールが一般的です。メールを送る際、以下の内容は必ず書いておきましょう。
- メールを送信する人の氏名
- 研修する旨
- 研修対象者
- 研修の実施日と時間
- 必要なもの
- 研修までにしておくべき事項
- 質問がある場合の連絡先
注意点として、研修を実施する2週間〜1か月前には送っておきましょう。研修実施日の1週間前などに送ってしまうと、受講者の都合がつかない場合があります。
④研修本番
実際に研修を行います。計画段階で決めていた通りに研修を進めましょう。余裕があれば、教育担当者もオブザーバーとして研修に参加し、受講者とは別の視点で、本番中の気づきやトラブルについてメモしておくことをおすすめします。振り返りやまとめ、報告書を作成する際に役立てられます。
⑤振り返りや結果をまとめる
研修が終わったら、内容を振り返ってまとめましょう。理由は以下の通りです。
- 次の研修を企画する際に活かせるから
- その他の業務に活かせるから
- 受講者のアフターフォローができるから
特に受講者のアフターフォローは重要です。研修だけでは理解できなかった受講者がいるかもしれません.。アンケートなどを実施して、受講者の理解度を把握しておくとよいでしょう。
まとめ
この記事では、社内研修の種類について解説しました。研修の実施方法には、OJT、Off-JT、eラーニング、オンライン研修などの方法があります。また、研修の内容にも多数の種類があります。どの職種でどのような社員に向けて実施するのか、またどんな問題があってどのような解決方法があるのかなどを元に研修の内容を選びましょう。
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