人手不足が深刻化する中、人材育成は人事担当者や経営者にとって組織の命運を分ける重要な取り組みになっています。
人材育成の施策を検討するにあたり、OJT研修を行うべきかOFF-JT研修を行うべきかについて悩まれる担当者の方も多いと思います。
そこで、この記事ではOJT研修とOFF-JT研修の違いやメリット、特徴についてご紹介していきます。
以下の内容を踏まえたうえで、どのように使い分けていけば良いかを一緒に考えていきましょう。
OJT研修とは?OFF-JT研修とは?
OJT研修とは「On-The-Job-Training」の略称で、直訳すると職場内訓練という意味です。実際の職務現場で業務を行いながらスキルを身に付ける研修のことをいいます。
一方Off-JT研修は「Off-The-Job Training」の略称で、職務現場を一時的に離れて行う教育訓練のことをいいます。
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OJT研修とOFF-JT研修の違い
では、OJT研修とOff-JT研修にどのような違いがあるのでしょうか。
ここでは、教育方針・内容・期間・場所・コスト・育成効果の6つの観点で比較します。
OJT研修 | Off-JT研修 | |
教育方針 | アウトプット主体 業務の中で確認しながら習得する | インプット主体 知識として習得する |
内容 | 業務に直結するノウハウを学ぶ | 業務全般で求められる汎用的な知識を学ぶ |
期間 | 中長期的に実施する | 限られた期間内で実施する |
場所 | 職場内 | 職場外 |
コスト | 上長・先輩社員が行うため、 金銭的コストという点で優れる | 教育専門の指導者が行うため、 良質な研修機会コストという点で優れる |
育成効果 | 学びをすぐに実務で活用できる | 専門的な知識やスキルを得られる |
OFF-JT研修に対するニーズの高まりと必要性
OJT研修とOff-JT研修の特徴についてご紹介しましたが、昨今、OJT研修に関する課題も出てきています。その課題というのは、OJT研修の担当者不足です。
転職活動の活発化や少子高齢化、バブル世代の定年退職の増加などの影響により、OJT研修を担当できる社員の数が少なくなっています。
また、人材不足により、社員1人に対する負荷が増えてきたため『OJT研修を実施する時間が確保できない』『業務と指導の両立が難しい』等の課題も出てきています。
そんな中、日本国内のみならず海外の有名企業でもニーズが高まっているのがOff-JT研修です。
では、多くの企業で求められているOff-JT研修は何を目的として行われているのでしょうか。
下記にOff-JTが必要とされる理由をまとめているので確認していきましょう。
①習得スキル・知識の均質化が可能
Off-JT研修では、同じ講師が対象者全員に教育するため、教える人によって教え方や内容に差が出ることはありません。均一な教育が可能になると、受講者からの意見もまとめられるので次回研修への改善に活かすこともできます。
②知識の「基礎」を作れる
仕事に必要な知識を継続的に学びつづけることは簡単ではありません。そこで、企業が率先して学べる機会を用意すると、従業員のモチベーションもあがり、内容も身につきやすくなります。
また、専門的な講師によるOff-JT研修では、業界動向やマネジメントの基礎、理論や原理原則のインプットを目的としているので、仕事に必要なスキルだけでなく、知識の土台となる「基礎」を養うことができます。
③専門的な内容を深く学べる
Off-JT研修は、『階層別』『職能別』『目的別』に行われるので、通常業務で必要とされる知識より深い知識を学ぶことができます。
また、企業成長や企業存続のためにもノウハウや知識の継承が重要なので、深い専門知識やノウハウを持った人材の育成という目的にもOff-JT研修は役割を果たしてくれます。
④新たな視点が得られる
外部から講師を招いて実施するOff-JT研修では、社内業務で知り得なかった新しい視点やノウハウ、技術などの習得が可能です。
社内の知見だけに頼らずに、外部からの情報を取り入れることで、知識や技術がアップデートされる効果も期待できます。
⑤社内コミュニケーションが活性化する
Off-JT研修では、定期的な情報交換をしたり親交を深めたりする機会もあるため、企業の一体感も高まり、企業を成長させるきっかけにもなります。
OFF-JT研修の種類について
ここからはOFF-JT研修の実施パターンについてご紹介します。
①集合型研修
集合型研修は、対象者を会場に集めて行う研修です。
近年ではWEB会議ツールなどを用いてライブ配信型で実施する企業も増えています。
集合型研修では、研修の目的に合わせて受講する社員を選別できるので、必要な時期に必要な層に対する研修が実施できます。
代表的な研修内容は、階層別や業務内容別、ビジネス全般のスキルに関する研修です。
②eラーニング型研修
eラーニング型研修は、社員の都合の良い時間・場所で受講できるので、スマートフォンやタブレットで移動時間にも学ぶことができます。
近年は動画コンテンツも増えており、対面でなくても臨場感のある研修を実施できるようになっています。
eラーニングで知識レベルを揃えながら、集合研修でより高いレベルの研修を実施するなど、異なる実施形式を組み合わせて効果を高めるケースも見られます。
OFF-JT研修における3つの気をつけるべきポイント
ここから、OFF-JT研修を実施する際の気をつけるべき3つのポイントについて解説します。
①実践する機会を別に設けなければならない
知識をインプットできても、現場でうまく活かせるとは限らないため、OFF-JT研修で学んだ知識を現場でアウトプットする機会を別途設ける必要があります。
また、OFF-JT研修の中で実践の機会を設け、通常業務に差し障らないように導入することも有効です。
②業務で活用しきれない可能性がある
外部講師は必ずしも自社の業務に精通しているわけではないため、研修内容を活かしきれない可能性もあります。実務と研修内容にギャップがある場合は、実務に応用できるように会社独自で工夫することが必要です。
③外部の講師に委託するコストがかかる
OFF-JT研修は外部講師へのトレーニングの委託や会場の確保など、金銭的なコストがかかることが多いです。
しかし、近年ではeラーニングやオンライン研修など、ITを活用した人材教育の開発が進んでいるため、コストを削減しながら研修を実施することも可能です。
OJT研修とOFF-JT研修の使い分け
研修効果を向上させるためにはOJT研修とOff-JT研修を組み合わせて育成全体を設計することが重要です。
下記に育成全体の設計方法の例を記載しているので確認しましょう。
(例)
①研修前に研修の目的や内容を受講者の上長に伝える ↓ ②研修後の成果を共有する ↓ ③現場での指導・サポートを行う体制を整える ↓ ④Off-JT研修で得た学びを実務により活かすことができるようになる |
OJT研修とOff-JT研修を組み合わせると、自分の役割を果たすための知識と成長するための知識の両方を得ることができるでしょう。
まとめ
この記事ではOff-JT研修の必要性や特徴に触れながら、OJT研修との違いや両者を組み合わせて育成の全体像を構築する重要性を説明しました。
より専門的な教育や研修を通じてそれぞれの才能が開花した例はたくさんあるので、対象者に一律且つ専門的な教育を実施できるOff-JT研修を積極的に行いながら、研修後も効果測定を行うなど、受講者の満足度向上に努めることが大切です。
また、OJT研修とOff-JT研修のメリットをそれぞれ理解して両者を有効的に連携させると、企業にとって有用な人材の育成につながるため、今後の人材教育に活かしてみてください。
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