【企業研修Vol.19】デジタル化の際に利用できる補助金や助成金とは?メリット・デメリットや申請のポイントを解説

社内のデジタル化は、現代社会において欠かせない作業の1つとなっています。顧客や取引先のニーズに合わせるためにも、デジタル化を推進して環境を整備する必要があるでしょう。しかし、デジタル化にはコストがかかり、事業の負担となることもあります。そこでおすすめなのが、補助金を活用する方法です。

本記事では、デジタル化の際に利用できる補助金の種類と、申請のポイントなどを解説します。

デジタル化に合わせて補助金を申請できる?

デジタル化の内容によっては、各種補助金を申請できる可能性があります。デジタル化における補助金の基本について、以下で解説します。

デジタル化にかかるコストの支援は行われている

デジタル化にかかるコストは、企業にとって大きな出費となります。特に中小企業にとっては、デジタル化が必須なのは理解しているけれど、コストが壁となって実現できないという事例も多いです。そこで国や自治体はさまざまな補助金制度を立ち上げて、デジタル化にかかるコストを支援しています。

これから社内のデジタル化を進める際には、必要なコストの種類に合わせて補助金の申請を検討するとよいでしょう。

デジタル化で発生する主なコスト

社内のデジタル化に伴って、さまざまな種類のコストが発生すると想定されます。事前にどのようなコストがかかるのかを試算し、必要経費を見積もっておくことが重要です。例えばデジタル化の際には、以下のコストが発生します。

  • デジタル化に向けての社内体制を構築するコスト
  • 専門機関などへのコンサルティング費用
  • デジタル化に関する企画やシステムの開発費用
  • 機械やソフトの導入費用、リース費用
  • 必要な環境整備における外注費用
  • 宣伝や広告に関する費用
  • デジタル化に関する人材育成にかかるコスト

など、さまざまな状況下でコストがかかるため、実際にデジタル化を始めると、予想以上の負担になるケースも多いです。可能な限り事前にコスト面を調査し、どの程度の費用が必要になるのか計算しておきましょう。

デジタル化で利用できる補助金の種類

企業のデジタル化を推進するために、現在も多くの補助金制度が利用できます。補助金を使うことでコストの負担を抑えつつ、必要なデジタル環境を構築可能です。以下では、デジタル化で活用できる主な補助金制度を解説します。

IT導入補助金

IT導入補助金とは、中小企業や小規模事業者等の「労働生産性の向上」を目的とした補助金制度です。業務効率化やDXなどを目標とし、ソフトウェアやサービスなどの導入を支援するのが特徴です。IT導入補助金の対象となるソフトウェアやサービスなどのITツールは、事前に事務局の審査を受けたものに限定されます。

審査内容はホームページに公開されているため、事前に確認しておきましょう。また、IT導入補助金の利用時には、IT導入補助金事務局に登録された「IT導入支援事業者」とパートナーシップを結んだうえで、申請しなければなりません。

参考:IT導入補助金

事業再構築補助金

事業再構築補助金とは、新型コロナウイルスによって変化した時代に対応するために、思い切った事業再構築に挑戦する中小企業を支援する補助金です。例えば従来の事業とは異なる分野への業態転換などが、補助金の支給要件になります。

本制度ではDXをきっかけにした変革も対象となるため、デジタル化を進める際には利用が検討されます。申請時には「認定経営革新等支援機関」から、事業計画書の確認を受ける必要があります。また、行政サービスを利用する「GビズID」も必要になるため、事前に準備をしておくとよいでしょう。

参考:事業再構築補助金

ものづくり補助金

ものづくり補助金とは、中小企業や小規模事業者が度重なる制度変更に対応するために、環境整備などで必要なコストを支援する補助金です。例えばDXやインボイスに対応するためのシステムの導入費や、生産プロセスの改善に使われる設備投資の支援などが実施されます。

ものづくり補助金の申請時には、「給与支給総額を年率平均1.5%以上増やす」「事業場内最低賃金を地域別最低金額+30円以上にする」「事業者全体の付加価値額を年率平均3%以上増やす」の条件を満たした3〜5年の事業計画を策定する必要があります。

参考:ものづくり補助金

キャリアアップ助成金

キャリアアップ助成金とは、非正規雇用労働者のキャリアアップを支援する制度です。例えば正社員としての採用や、賃上げなどの措置を行った際に助成金が支給されます。DXに伴って人員確保のために正社員化した場合などには、支給の対象になります。

本制度は助成金制度であるため、補助金と違って予算と定員が最初から定められている点に注意が必要です。

参考:キャリアアップ助成金

自治体や団体の補助金

上記以外にも、自治体や団体が独自でデジタル化に対する補助金を提供しているケースがあります。例えば東京都産業労働局は、デジタル技術の活用に取り組む都内の商店街を対象に、「商店街デジタル化推進事業費補助金」を実施しています。

そのほか、東京都中小企業振興公社は、都内の中小企業者がデジタルツールを導入する際の経費の一部を、「中小企業デジタルツール導入促進支援事業」で補助しています。

参考:商店街デジタル化推進事業費補助金

中小企業デジタルツール導入促進支援事業

デジタル化で補助金を利用するメリット

デジタル化で補助金制度を利用することには、多くのメリットがあります。事前に具体的なメリットを確認し、制度の利用準備を進めるのもポイントです。以下では、デジタル化の際に利用できる補助金のメリットを解説します。

補助金は返済が不要

補助金は原則として、返済が不要なお金となります。そのため支給要件を満たして採択されれば、返済計画を立てずに補助金を使用できます。仮に銀行などから融資を受ける場合、金利を含めたお金を返済しなければなりません。

その点、補助金なら返済の必要がないお金で資金調達ができるため、デジタル化の計画を進めやすいでしょう。

デジタル化を進めるきっかけになる

補助金制度を調べて活用の準備をすることは、デジタル化を本格的に進めるきっかけになります。デジタル化にかかるコストをまかなえないとわかっている場合、そもそも具体的な計画を立てることさえしないでしょう。しかし、補助金制度の活用が可能である場合、改めてデジタル化を計画するきっかけになります。

コスト面が問題となって1度はデジタル化を諦めたとしても、補助金制度を活用する方法で再度計画を立ててみるのがおすすめです。

社内環境を改めて改善できる

補助金制度を利用することで、改めて社内環境のデジタル化および改善を進められる点もメリットです。補助金に頼らず、できる範囲だけでデジタル化を進めた場合、環境に不満が出るケースも多いです。しかし、補助金を利用できるとなると、さらによいシステムやデジタル環境の整備も実現できるでしょう。

利用可能な補助金制度をピックアップし、改めて社内のデジタル化に着手する方法も考えられます。

補助対象となる範囲が広い

多くの補助金制度は、補助対象となる範囲が広いという特徴があります。DXや職場のデジタル化につながるあらゆる要素が支援対象になり得るため、意外な補助金を利用できる可能性もあります。設備投資、デジタル関係の教育、建物の改築、広告宣伝費なども対象になり得るため、あらゆる計画を立てられます。

デジタル化で補助金を利用するデメリット

デジタル化に合わせて補助金を利用する際には、デメリットも考えられます。事前にデメリットを確認し、対処法を考えておくことも重要です。以下では、デジタル化で補助金を受け取る際のデメリットを解説します。

情報を収集するのが難しい

デジタル化に関する補助金を利用する際には、情報収集の難しさがデメリットの1つになっています。補助金制度は企業側で情報を収集し、必要な書類をそろえるなどの準備をして申請しなければなりません。制度側から自動で補助金の採択や支給が行われることはないため、関連情報を適宜収集する機会が必要になるでしょう。

申請に手間と時間がかかる

デジタル化に関する補助金は、申請に手間と時間がかかるケースも多いです。事前に特定の事業者と契約したり、専用のIDを取得したりといった準備が求められることもあります。そういった条件を知らずにいると、申請ができずに準備をやり直す必要が出てしまいます。

申請期日ギリギリだった場合には、準備が間に合わない可能性も懸念されるでしょう。補助金を利用する際には申請に必要な準備時間を考慮して、期日に余裕のある段階から情報収集などを始めるとよいでしょう。

審査に通るとは限らない

当然のことですが、補助金制度はすべての事業者が審査に通るとは限りません。条件やデジタル化の内容次第では、補助金を受け取れないケースも想定されます。デジタル化を進めてから補助金を受け取れないといった事態にならないように、要件はしっかりと確認しておきましょう。

また、審査に落ちたパターンを考慮して、別のプランを考えておくのもデジタル化におけるポイントです。

支給されるまで時間がかかる

各制度で採択されたとしても、補助金の支給まで時間がかかる点はデメリットです。基本的に補助金は後払いの形式になるため、自社でデジタル化にかかるコストは先に立て替えておく必要があります。

想定以上にコストがかかり、ほかの事業に影響が出ることのないように、立て替えに必要な金額と補助金の支給タイミングはしっかりと把握しておきましょう。

補助金は課税対象になる

支給された補助金は、会計上は収益にあたります。そのため所得税や法人税の課税対象になるため、税金面の問題を事前に確認しておく必要があります。具体的には受け取った補助金に売上などをプラスし、そこから経費(損益)を差し引いた金額から課税額が決まります。

納める税金が増えるとそれだけ負担も増すため、事前に税理士や専門家に相談しておくのがおすすめです。

デジタル化で補助金を申請する際のポイント

デジタル化の際に補助金を申請する際には、いくつかのポイントがあります。スムーズに申請が行えるように、基本的なポイントや注意点は把握しておくとよいでしょう。以下では、補助金の申請時におけるポイント・注意点を解説します。

こまめに補助金の情報を収集する

デジタル化の補助金を利用する際には、こまめに情報収集をするのがポイントです。補助金の詳細や支給条件などは、年度ごとに変更になるケースが多いです。そのため去年までの情報を参照していると、今年になって追加された条件を見逃してしまう可能性があります。

補助金を申請する際には最新の情報をチェックするように努めて、間違いなく利用できるように備えましょう。基本的に公式ホームページを確認し、最新情報や更新内容をチェックするのがポイントです。

補助金に関する担当者を決めておく

デジタル化の補助金を申請する際には、関連する作業を一貫して担当する人材を決めておくのがおすすめです。担当者が決まっていないと、申請が終わっているのか、必要な書類はそろっているのかといった、こまかな進捗がわからなくなる恐れがあります。

社内の情報を調べているうちに時間が経過し、申請期限に間に合わないといった可能性もゼロではないでしょう。そのためデジタル化を担当する専門のチームをつくり、そのなかから補助金に関する作業の担当者を任命する方法がおすすめです。

1人に任せるとケアレスミスなどによって申請が滞る可能性もあるため、複数人でのチェックをルール化するのもポイントです。

申請代行サービスを活用する

普段の業務をこなしつつ、デジタル化を進めながら補助金の申請を行うのは、想像以上にハードです。そのため補助金の申請を代行してくれるサービスを利用し、煩雑な手続き丸投げしてしまうのも1つの方法です。

補助金申請代行サービスは、関連する制度についての情報を多数保有しているため、自社で使えるものを斡旋してくれるケースもあります。補助金について調べる手間も削減できるため、通常業務とデジタル化だけに集中できるでしょう。

デジタル化の補助金を申請するなら「キューズフル」にご相談を!

デジタル化の補助金を申請する際には、企業研修サービスを提供する「キューズフル」にご相談ください。「キューズフル」は企業研修についてのサポートに加えて、人材開発支援助成金の申請代行業務の他、その他の補助金・助成金申請に関する情報提供も行っています。企業研修でデジタル化に関する教育を実践し、その成果を補助金の申請時に利用することも可能です。

企業研修の構築と補助金の申請代行をまとめて任せられるため、手間と時間の削減につながります。もちろん提供する企業研修の質も高いので、安心して従業員の教育を実践できるでしょう。

まとめ

社内のデジタル化を進める際には、補助金を利用することが検討されます。デジタル化の際には多くのコストがかかり、ときにそれは事業の継続を危うくする原因にもなりかねません。そんなコストを少しでも軽くするために、積極的に補助金制度の情報を集めてみましょう。

特に、人材開発支援助成金の申請に手間取っている場合や、申請にかける時間がつくれない場合には、「キューズフル」にご相談ください。「キューズフル」はこれまでに1,000件を超える企業研修と人材開発支援助成金の申請代行をしてきた実績があります。

スムーズかつ的確な補助金・助成金の案内も可能なため、まずは「キューズフル」にお気軽にお問い合わせください。