【無料DL資料付き!】産休について解説!産休に関する手続き方法、注意点とは?

産休に関する手続き方法とは?

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昨今、女性が産休や育休を取ることは当たり前という時代になってきました。政府が『一億総活躍社会』を推し進める中、企業の対応は従業員との信頼関係に大きな影響を与えます。

妊娠中の産前休業から出産後または育児休業が終了して職場に復帰するまで、継続した対応が求められます。

それぞれのタイミングで社会保険や雇用保険等各種制度で手続きが必要となるため、事前に手順を可視化しておくと良いでしょう。

本記事では、産休に関する無料ダウンロード資料もご用意しておりますので、併せて確認しましょう。

ダウンロードできる資料はこちら

  1. 産前産後休業取得者申出書(Excel)
  2. 被扶養者(異動)届(Excel)
  3. 産前産後休業取得者申出書見本(PDF)
  4. 被扶養者(異動)届見本(PDF)
  5. チェックリスト_産前産後休業取得者申出書(PDF)
  6. チェックリスト_被扶養者(異動)届(PDF)

産前産後休業(産休)とは?

一般的に『産前休業』と『産後休業』を合わせて『産休』と呼んでいます。

産休は雇用形態に関係なく、全ての女性従業員に適用されます。男女雇用均等法第9条により、企業は女性従業員が産前産後休業を取得に対する拒否または、これを理由に不当な解雇や不利益な取り扱いをすることはできません。このような対応を取った場合はマタニティハラスメント(マタハラ)に該当します。

近年、マタニティハラスメントの防止措置が法律で義務付けられているので、従業員との間でトラブルにならないように適切に対応しましょう。

『産前休業』と『産後休業』は以下の通り内容が異なります。

休業名称取得期間取得義務
産前休業出産予定日前の6週間
※多胎妊娠の場合は14週間 (出産日当日も含む)
本人からの申し出が必須
産後休業出産翌日から8週間必ず取得させなければならない

上の表の通り、産前休業は労働基準法上あくまで産前6週間(多胎妊娠の場合は14週間)と固定されているため、体調が悪い等の事情で従業員が『前倒しして産前休業を取得したい』と希望した場合は、医師の診断書を基に傷病手当を申請するか、有給休暇を取得してもらわなければなりません。

また、産後休業に関しては産後6週間を経過後、女性従業員が請求する且つ医師が支障ないと認めた場合のみ業務に就かせることができます。

産休で必要となる対応・手続きとは?

妊娠の報告を受けたタイミングから出産するまで様々な手続きが必要です。手続きの中には申請時期が設定されているものもあるため、漏れがないように対応しましょう。

手続きをスムーズに進めるための手順は以下の通りです。

①従業員から妊娠の報告を受けた時(=産休前)

①-1従業員へ産休取得の確認をする

<確認内容>
1. 出産予定日
2. 最終出社予定日
3. 復帰の有無(復帰する場合は復帰予定日)
4. 育児休業の取得希望

まずは、従業員に産休取得の希望を確認します。前述の通り、産前休業については本人からの申し出によるため、いつから休業に入りたいのかについてすり合わせをしておきます。

休暇の時期や期間に合わせて業務の引き継ぎや人員補充のスケジュールを立てていきます。

また、今後の業務において時差通勤制度等、社内で利用できる制度がある場合は事前に知らせるとともに、それらを利用するかどうかもヒアリングしておくと良いでしょう。

①-2各種対応を依頼する

産休の取得意思の確認と併せて、以下の内容について対応してもらう必要があります。

<依頼内容>
出産前・社内規程等に基づく『産前産後休業申請書』等の産休取得に関する書類の提出
・産休期間中の連絡先の提示
 ※里帰り出産の場合は帰省先の連絡先もあると尚良い
・産休期間中の通勤手当の返却
 例)6ヶ月定期券等の購入など既に支給してある分の精算
・産前産後休業中の住民税の普通徴収への切り替えの希望の有無
・産前産後休業届等の書類準備
出産後・出産の報告
・出産手当金受給に関する申請書や医師等の証明
・出産後の子供の戸籍謄(抄)本や住民票等
 子どもを扶養に入れる場合の確認書類の提出
・出産手当金や出産育児一時金、各種助成や給付金について本人が申請する書類の確認
 ※会社が申請代行できる書類の作成希望についても確認する

各書類の提出できるタイミングや医師等から証明を受けられる時期等がそれぞれ異なるため、予めその旨も本人へ説明しておきましょう。

各種手続きについて会社が代行できるもので本人がそれを希望する場合には、母子手帳のコピーなど別途必要なものが発生してくるため、事前にその旨も伝えます。

出産日が確定してから手続きを行うものもあるため、企業側で行う場合は休業中も従業員と連携できる手段を確保しておきましょう。

これらの事項と併せて、出産を終えたらその旨を会社に報告してもらうように依頼すると良いです。

②従業員から出産の報告を受けた後

②-1『産前産後休業取得者申出書』を作成・提出する

『産前産後休業取得者申出書』を日本年金機構(事務センター)に提出することで、産休期間中の社会保険料は一定の期間について免除になります。基本的に届出は企業が行います。

申出書の提出により、産前産後休業開始月から終了日が属する月の前月まで(終了予定日が月末日の場合はその月まで)の期間の事業主分と被保険者分の保険料の支払が免除されます。

免除されても被保険者の資格や将来受け取る年金額に影響はありません。

<産前産後休業取得者申出書の提出について>
提出先日本年金機構(事務センター)
提出時期(提出期限)出産前または出産後(産休期間中)
提出方法郵送、電子申請

免除の申請については産休期間中であればいつでも手続き可能ですが、免除対象である休業期間は出産予定日を起点として算出されます。

そのため、産前に提出し、且つ予定日以外に出産した場合は『産前産後休業取得者変更(または終了)届』の提出が必要です。確実に予定日通りに出産できるケースは稀なので、特別の事情がない限り出産した後の産後休業中の申請をおすすめします。

②-2『出産手当金』の申請手続きをする

『出産手当金』とは健康保険の被保険者となっている従業員が出産のために休業した場合に、休業中の給与の保障として標準報酬月額の2/3に相当する金額を給付する制度です。

対象期間中に報酬が支払われた場合は原則として出産手当金はありませんが、支払われた報酬額が出産手当金の額より少ない場合はその差額が支給されます。

出産手当金の計算方法は以下の通りです。

支給開始日以前の継続した12か月間の各月の標準報酬月額を平均した額÷30日×2/3
<出産手当金の申請について>
提出先全国健康保険協会(協会けんぽ)・健康保険組合
提出時期 (提出期限)出産前または出産後(産休開始の翌日から2年以内)
※出産後に提出するのが一般的
提出物・添付書類健康保険出産手当金支給申請書※1
療養担当者意見書(医師、助産婦による意見書) 事業主証明書
マイナンバーを記載する場合は本人確認書類を要添付
※1.医師・助産師記入欄に直接記入や証明をしてもらうことが難しい場合のみ

出産手当金の支給期間は、出産日以前42日から出産の翌日以後56日目(死産を含む)までです。また、多胎妊娠の場合は、出産日以前98日から出産の翌日以後56日までです。

出産日が予定日より後になった場合は、出産予定日以前42日から出産の翌日以後56日目までとなっています。出産予定日がずれることも考慮して、支給期間が過ぎる産後56日以降に申請手続きをすることをおすすめします。

健康保険からの給付手続きとなるため原則本人が提出しますが、申請書類の中には事業主が証明するものもあるため企業が行うことも可能です。また、出産日から2年以内に行わなければ時効となるため注意が必要です。本人と会社のどちらが提出するかは話し合いで決めましょう。

②-3『出産育児一時金』の申請手続き方法を伝える

『出産育児一時金(出産一時金ともいう)』は被保険者になっていれば出産時に誰でも受け取れるもので、保険適用外の出産費用に関する負担を軽減するために支払われるものです。

妊娠4ヶ月(85日)以後に出産した場合は一児につき50万円が支給され、産科医療補償制※2の対象外となる場合には48.8万円が支給されます。

※2.分娩に関連して重度脳性麻痺となった赤ちゃんが速やかに補償を受けられる制度(医療機関等が加入する制度)

申請に関して会社側が対応するべき手続きは特にありませんが、申請の時効が2年ということと、本人が申請しなければならないことを知らなかったり忘れたりするケースもあるため注意を促すと良いでしょう。です。

申請方法には『直接支払制度』『受取代理制度』『産後申請方式』の3パターンがあり、いずれの方法も原則本人が願い出るか申請する必要があります。

直接支払制度協会けんぽや健康保険組合が直接医療機関に支払う方法。
医療機関の窓口で支払う額は出産育児一時金との差額のみ。
医療機関と代理契約合意文書を交わせば手続きは医療機関が全て行ってくれる。
受取代理制度協会けんぽや健康保険組合が直接医療機関に出産育児一時金を支払う方法。
出産予定日の2ヶ月前以降に本人が協会けんぽ等に対し、医師の証明書を添付して事前申請を行う必要がある。
産後申請方式自費で出産費用を支払う方法。
後日、協会けんぽ等へ請求手続きを行い、本人が出産育児一時金を受け取る。

多くの医療機関が直接支払制度を導入しており、本人が医療機関と本制度の利用について合意書を取り交わして手続きが完了しているケースがほとんどです。

しかし、小規模な医療機関や助産院等では直接支払制度が利用できないこともあるため、その場合は受取代理制度や産後申請のいずれかで出産育児一時金を請求する必要があります。

②-4『健康保険被扶養者異動届』を提出する

誕生した子どもは、生まれた日から被保険者としての資格を持ちます。そのため、会社は『健康保険被扶養者異動届』を管轄の年金機構(事務センター)へ提出する必要があります。

<健康保険被扶養者異動届の提出について>
提出先管轄の年金機構(事務センター)
提出期限出生届提出後5日以内
提出物・添付書類健康保険被扶養者異動届 続柄確認ができる戸籍謄(抄)本または住民票を要添付
※出生届受理証明書や出生届出済証明書などが必要な場合もあるので、詳細な添付書類は提出先へ確認してください。

共働きの場合は、年収を判断材料に家計の実態に応じて、夫または妻のどちらの被扶養者になるか決定されます。

原則として、手続きには続柄を確認するためマイナンバーが必要ですが、マイナンバー通知カード等の発行を待つと時間が掛かってしまいます。そのため、出生登録等を済ませたら住民票をマイナンバー入りで発行してもらうことをおすすめします。

マイナンバーの手配に時間が掛かってしまう場合は必要に応じて従業員に続柄確認書類を取得してもらいましょう。

申請日が遅れてしまっても出生日まで遡ることが出来ますが、保険証の発行に影響するため、なるべく早く届出を出すようにしましょう。

手続きが完了して誕生した子どもの保険証が届き次第、速やかに従業員へ交付します。

②-5給与所得者の扶養控除(異動)申告書を変更する

家族が増えた際は健康保険のみならず税金に関する手続きも必要です。

生まれた子どもが従業員の扶養親族となる場合は、直近の年末調整の際に提出した『給与所得者の扶養控除(異動)申告書』に追加記入する必要があります。

また、12月に子どもが生まれて、既に年末調整用の書類が提出済の場合はそれらを訂正したり年末調整をやり直したりするケースもあります。

翌年1月に提出する『給与支払報告書』に生まれた子供について記載しなければならないため、なるべく早く給与所得者の扶養控除(異動)申告書の再提出をしてもらいましょう。

尚、住民税は前年度所得に課税されるため、実際に住民税額が変更されるのは翌年です。

まとめ

従業員の妊娠・出産に関わる手続きは長期間に及び、内容も複雑で多岐に渡ります。

対応に時間がかかることも予想されるため手続きに漏れがないように、事前に手順をマニュアル化しておくこともおすすめです。

また、産休の手続きは法改正の影響を受けやすいので、今後の行政の動向にも注意しておきましょう。

この記事では、下記に産前産後休業取得者申出書と被扶養者(異動)届および提出時のチェックリストをご用意しておりますので、必要に応じてご活用くださいませ。

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